半透明の幽霊タコ? 激レア「キャスパー」タコ発見
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月1日 13時0分
トム・ヘイワース
<南太平洋の深海で、お化けのように半透明な姿の激レア「キャスパー」タコが発見された。シュミット海洋科学研究所率いる調査団が明らかにしたもので、他にも新種の深海生物が続々と見つかっている>
アメリカのシュミット海洋科学研究所率いる調査団が、これまで知られていなかった海山を南米チリから約1448キロに位置する南太平洋のナスカ海嶺で発見し、地形図を作成した。
【画像】【動画】お化けのように半透明!激レア「キャスパー」タコ発見
ナスカ海嶺の豊かな生態系
海底山脈が連なるナスカ海嶺は、サラスイゴメス海嶺とともに、公海海洋生物保護区の指定候補となっている。この海嶺には、まだ正式名称がないほどの希少種も含め、深海の豊かな生態系が存在する。
新たに発見された海山の比高は3109メートル。28日間にわたって実施されたナスカ海嶺の公海探査の大きな成果だった。海山の地形図作成に加え、調査団が水中ロボットで行った潜水探査では、カイメンの庭園や太古のサンゴなど豊かな生物多様性も明らかになった。
「今回の探査で、これまでの150種に加えて新たに20種の新種が見つかった。加えて、世界のこの地域ではこれまで見つかっていなかった約80種も発見した」。シュミット海洋研究所事務局長で今回の探査の共同チーフサイエンティストを務めるジョティカ・ヴィルマーニは本誌の取材にそう語った。
南太平洋で初めて観察されたタコの「キャスパー」も新しい発見だった。「キャスパーという呼び名はお化けにちなむ」とヴィルマーニが説明する通り、このタコは半透明のお化けのような姿をしている。
キャスパーはまだ捕獲されたことがなく、現時点で分かっていることは全て目撃情報のみに基づく。
「実際に捕獲されたことはない。あるのは目撃情報のみ。この可愛らしいタコは生きた標本が存在しないことから、本当はどんな種で、どんな特徴があるのかほとんど分かっていない」とヴィルマーニ。研究者を魅了し続けているにもかかわらず、物理的な標本がないためにまだ学名もなく、「今のところ、キャスパーという仮の名で呼ばれている」と説明した。
タコのキャスパーは深さ4443メートルの深海で観察された。
次々と姿を表す貴重生物
調査団は、ダルマイカ科のイカの生きた映像を撮影することにも今回初めて成功した。この種類のイカは死骸の標本が少数存在するだけの希少種で、古いものは1800年代にさかのぼる。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
世界最大のサンゴ発見、推定300歳!宇宙からも見える破格サイズ 発見当初は「難破船かと…」 ソロモン諸島
よろず~ニュース / 2024年11月21日 21時40分
-
【岡山理科大学】オオサンショウウオの骨組織は絶滅した両生類に類似 現生動物に類例なく、“生きた化石”を骨が裏づけ
@Press / 2024年11月19日 11時30分
-
人類滅亡後、地球は「タコの惑星」に? 巨大海底都市建設も 英オックスフォード大が新説
産経ニュース / 2024年11月18日 15時17分
-
【1994(平成6)年11月16日】国連海洋法条約が発効
トウシル / 2024年11月16日 7時30分
-
自然と都市生活が調和した宜昌市がビデオシリーズ「Wilderness Explorations」を開始
共同通信PRワイヤー / 2024年11月15日 17時11分
ランキング
-
1年収1,000万円なんてこんなもん…42歳で部長に抜擢の〈大企業エリート〉。質素すぎる毎日に、部下「夢がない」「このままこの会社にいても」と絶望
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月28日 7時15分
-
2「高齢で廃業」店内に放置された犬19匹、ふん尿にまみれ…荒稼ぎしたブリーダー業の末路に「胸が痛い」
まいどなニュース / 2024年11月28日 7時50分
-
3「俺、無精子症だから」と避妊してくれない彼。生理が来ないことを告げると“まさかの反応”
女子SPA! / 2024年11月28日 15時47分
-
4「トイレでスマホ」が招く危険...長時間座りっぱなしの健康リスクとは?
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月27日 17時50分
-
5結婚相談所は知っている「いつまでも出会いに恵まれない男性」に共通する3つの特徴
日刊SPA! / 2024年11月28日 15時50分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください