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半透明の幽霊タコ? 激レア「キャスパー」タコ発見

ニューズウィーク日本版 / 2024年9月1日 13時0分

ほかにも通称「空飛ぶスパゲティモンスター」と呼ばれるクダクラゲの仲間の希少種など、深海のユニークな生物が見つかった。クダクラゲは自己複製する個虫が集まって群体を作り、互いに連携しながら単体として生息する。

ヴィルマーニはクダクラゲの撮影について「この生物の極めて希少な映像と写真」と形容した。

この海嶺で発見される新種や希少種は、探査を重ねるごとに増えている。

「イソギンチャク、ウニ、軟体動物、コシオリエビなど、幅広いさまざまな新種がいる」とヴィルマーニは言う。

「非常に印象的なサンゴ礁もあった。新種のサンゴの可能性もある。さらに、もしかしたら、完全には確認されていないものの、クジラの新種の可能性もある」

ヴィルマーニによると、新種と思われるクジラは生体ではなく化石が採集された。「まだかなりの分析が必要だが、可能性はある」という。

探索の目的は「海底地形図の作成」にもあり

今回の探査では、新種の可能性がある種が新たに20種採集され、この海域で確認された海洋生物は増え続けている。前回までの探査では1019種の生息が確認されており、今回の探査で1300種を超えた。

だが調査団の主な目的は、希少な海洋生物の発見に加え、海底地形図の作成にあった。

「グーグルマップを見ればさまざまな特徴や地形が表示されるので、完全な海底地形図があると誰もが思う。けれど現実には、地図の解像度は1キロと極めて粗い」とヴィルマーニは解説する。

「これまでのところ、高解像度で地形図が作成されたのは海底の約26%にすぎない。生物多様性のホットスポットがどこにあるかを探るためには、土台としての地図が必要だ」

新しい地図は、ニューハンプシャー大学の沿岸・海洋マッピング/合同水路測量センターを卒業した水路測量の専門家チームが作成。解像度は数十メートルまで向上させた。

このデータは「日本財団-GEBCO Seabed 2030」プロジェクトに提供され、ナスカ海嶺とサライゴメス海嶺に関する世界的な研究と管理に役立てられる。

「我々の発見は、こうした生態系の驚くべき多様性に脚光を浴びせると同時に、海山の生態系の相互のつながりに関する我々の認識の溝を浮き彫りにした」。共同チーフサイエンティストでシュミット海洋研究所の海洋技術者トマー・ケッターはそうコメントしている。

「こうした探査で収集したデータが将来の政策に役立てられ、この手つかずの環境が未来の世代のために保全されることを期待する」

(翻訳:鈴木聖子)

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