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イスラエル・ヒズボラの交戦激化、第2局面でイランはどう出る?

ニューズウィーク日本版 / 2024年9月3日 14時20分

迎撃されたイランの報復

大半の専門家はシュクル殺害に加えて、7月にイランの首都テヘランでパレスチナのイスラム組織ハマスのイスマイル・ハニヤ政治局長が暗殺された事態への報復として、連携攻撃が行われる可能性を指摘していた。考えられるのはイランとヒズボラ、場合によってはイエメンのフーシ派や、シリアとイラクのシーア派武装組織も加わったミサイルとロケット弾による攻撃だ。

しかし、この分析は外れた。これにはいくつかの要因が考えられる。

穏健派とされるイランのペゼシュキアン新大統領の手腕は未知数 MORTEZA NIKOUBAZLーNUR PHOTOーREUTERS

まずイランは、ハニヤ暗殺に報復する最善の策をいま練っているところである可能性が高い。4月にシリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館が空爆され、イラン革命防衛隊の数人が死亡した。イランは報復としてミサイルやドローン、ロケット弾など300以上をイスラエルに発射したが、ほぼ全て迎撃されている。次も同じ事態になれば、イランにはイスラエルへの大規模攻撃を行う能力がないと示すことになってしまう。

さらに、イランとしてはこれまでより大規模な報復攻撃を行いたくない事情がある。そんなことをすれば、より広範な戦争を引き起こすことになりかねない。イランとしては、アメリカやイスラエルに核関連施設への一斉攻撃を行う口実を与えたくはない。

そのためイランは、4月の攻撃とそれよりもやや強力な対応の「中間点」を見つけようとしている可能性が高い。その調整に時間がかかっているのは明らかだ。これが(イランにしては)やや穏健派とされるマスード・ペゼシュキアン新大統領と、イスラエルに強硬姿勢を貫いてきた革命防衛隊の意見の対立を示唆している可能性もある。

あるいはイランが、イスラエルへの攻撃は代理勢力を通じてのみ行い、今はヒズボラやフーシ派による限定的な攻撃にとどめると決めただけという可能性もある。それでも互いに敵意を抱く者同士の間ではメッセージが誤って伝わる可能性が常にあり、危機が去ったわけではない。

圧力は高まり軍は疲弊

一方のネタニヤフも、イスラエルの北部国境地帯でのヒズボラの脅威を排除すべきだと以前から主張する閣内右派の圧力にさらされ続けている。ヒズボラの脅威を受けてイスラエル北部から避難した約6万人の国民からの圧力もある。彼らはネタニヤフに対し、より安全な状況下で自宅に戻れるような対応を求めている。

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