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日本初の「女性首相」は生まれる?...「高く硬いガラスの天井」を破るための「条件」とは

ニューズウィーク日本版 / 2024年9月4日 16時5分

女性政治家を取り巻く環境は過酷であり、「ガラスの天井」は日本の女性政治家が政治キャリアを積み重ねていく困難性そのものの中にある。

その上で、自民党総裁選に出馬するには推薦人20人の確保が要求される。自力で推薦人を集めるにせよ、重鎮(キングメーカー)の手札を演じるにせよ、政治的人間関係を構築し維持していくには途方もないエネルギーが必要となる。

ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン元首相 HAGEN HOPKINSーAAP IMAGEーREUTERS

それ相応の資金力が必要となることもある。女性であることは有利にも不利にも働くが、前例のない女性首相が誕生するには、「最も高く硬いガラスの天井」を突き破るような格別の「強い意志の力」と、客観的な時流にかなった「モメンタム(勢い)」を自らに引き寄せることが必要となる。

マーガレット・サッチャーが79年に英国史上初の女性首相に就任した当時、英国議会(下院)における女性議員は635人中19人(3%)にすぎなかった。

しかし野党保守党の党首だったサッチャーは労働党政権を倒す「強い意志の力」で総選挙に臨み、高インフレにあえぐ国民が政権交代を求める「モメンタム」を取り込むことに成功し選挙に圧勝、首相の座をつかんでいる。

女性首相の代名詞とも言えるサッチャー以外に、首相あるいは大統領に就任した女性はスリランカのシリマボ・バンダラナイケ首相(60年)から、イタリアのジョルジャ・メローニ首相(22年)、タイのペートンタン・シナワット首相(24年)に至るまで、その数は100人近くに達している。

その内実はさまざまだ。

例えばインディラ・ガンジーは、父親であるインド初代首相ジャワハルラル・ネールの病死後、その政治的威信を受け継いで66年に首相に就任。強権政治の批判を浴びながらも国民会議派を率いて通算16年近く首相を務めた。

彼女の暗殺後に政権を引き継いだのは息子ラジブ・ガンジーであり、親子3代にわたる「ネール・ガンジー王朝」と呼ばれた名望家支配を築き上げる政治的パワーを持っていた。

女性首相の実態を数で見ると

これに対してニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は17歳で労働党に入党、28歳で国会議員に初当選、37歳で首相に就任、42歳の昨年「もう力が残っていない」として辞職し引退するという、早馬で駆け抜けるような政治家人生を送った。

女性のエンパワメント(本来の力を開花させること)に関する一つのモデルケースとして、世界の女性政治家に強い影響を与え、いまだに「ジャシンダマニア」と呼ばれる熱狂的な崇拝者が多い。

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