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日本初の「女性首相」は生まれる?...「高く硬いガラスの天井」を破るための「条件」とは

ニューズウィーク日本版 / 2024年9月4日 16時5分

複数の女性首相が誕生しているということは、デンマークのフレデリクセンがトーニングシュミット首相に引き立てられたように、「女性首相という経験」が継承され蓄積され得ることを意味するが、その経験はわずか7カ国でしか享受されていないのである。

しかもイギリスですら、サッチャー退陣後、次の女性首相メイが生まれるまでに四半世紀の歳月を要している。

小池百合子東京都知事 KAZUKI OISHIーSIPA USAーREUTERS

これに対して、女性首相(大統領)が1人しか誕生していない国は、ドイツ、オーストラリア、韓国、台湾(総統)、ベルギー、スウェーデン、イタリアなどの14カ国に達し、1人の女性首相(大統領)も生まれていない「ゼロ国家」は、日本、アメリカ、フランス、スペイン、オランダなど11カ国に上る(フランスには2人の女性首相がいたが、上司は男性大統領)。

最高権力者としての女性首相・大統領の輩出と継続が容易ではないことが分かるであろう。

「最も高く硬いガラスの天井」を打ち破るには、何が必要だろうか。女性首相を生む政治メカニズムと政治文化は国によってさまざまだが、共通する要素は、前述のように「強い意志の力」と、チャレンジを後押しする客観的な政治状況が「モメンタム」として存在していることだ。

強い意志の力があってもモメンタムがなければ成就しない。あるいはモメンタムをつかみ損ねたら「最も高く硬いガラスの天井」を打ち破ることはできない。

ヒラリー・クリントンが16年の米大統領選でドナルド・トランプ前大統領に敗北した際に「ガラスの天井」に言及したのはまさにそうした文脈であり、ヒラリーはトランプという異形の千両役者に勢いを阻まれたとも言えよう。

日本ではこれまで、土井たか子衆議院議長、扇千景参議院議長、山東昭子参議院議長という3人の女性が衆参の議長に就いている。

特に野党社会党の党首であった土井たか子は、89年の参議院選挙で自民党を過半数割れに追い込んで「山は動いた」と快哉を叫び、選挙後の参議院で女性初となる内閣首班指名を受けた。

しかし衆議院の優越によって海部俊樹自民党総裁が首相に選出され、土井はその後、93年に衆参を通じて初となる女性衆議院議長に就任して政治キャリアを終える。

「女性副首相」という第一歩

「意志の力」と「モメンタム」という点では、小池百合子東京都知事あるいは田中真紀子元外相を想起するかもしれない。共に世論の動向、時代の要請、時流を見極める天才的な目を持っており、人並み外れた「意志の力」を有する女性政治家だ。

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