【インタビュー】「民主党は労働者の党に戻れ...」サンダースがハリスに示す勝利への道筋
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月6日 13時40分
ジェイソン・レモン
<最低賃金引き上げ、富裕層課税、薬価引き下げ......左派の長老サンダース上院議員がカマラ・ハリス「必勝」の戦略を語った>
カマラ・ハリス副大統領とティム・ウォルズ・ミネソタ州知事のコンビなら民主党は11月5日の選挙に勝てる──無所属ながらも前回、前々回の民主党予備選に出馬して旋風を巻き起こしたバーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)は本誌にそう語り、根拠となる独自のデータも示してくれた。
大統領選で共和党のドナルド・トランプ前大統領(と副大統領候補でオハイオ州選出上院議員のJ・D・バンス)に勝ちたければハリス陣営は左派色を薄めるべきだと進言する向きもあるが、サンダースは逆に、労働者の味方に徹してこそ勝機はあるとみる。
サンダースの委嘱でシンクタンク「進歩のためのデータ」が7月末に行った世論調査によれば、6つの激戦州(アリゾナ、ジョージア、ネバダ、ミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシン)では民主党支持者でも無党派層でも、そして共和党支持者でも回答者の過半数が多くの進歩的政策を支持していた。最低賃金の引き上げ、富裕層や企業への課税強化、処方薬価格の大幅な引き下げなどだ。「こういう主張を進歩的と呼ぶのもはばかられる」とサンダースは言った。むしろ「常識的」と呼ぶべきだと。
今の共和党は、自分たちこそ「労働者の党」だと主張して有権者を取り込もうとしている。だがサンダースに言わせれば、それを許しているのは今の民主党が駄目だからであり、そもそも共和党には労働者のための政策など存在しない。
それでも「民主党に見捨てられたと感じている労働者はたくさんいる」。だからハリスの下で、民主党は労働者の味方という原点に立ち戻るべきだとサンダースは考える。
大統領選だけでなく、同時に行われる議会選や知事選でも一人でも多くの民主党候補に勝ってほしいと願う82歳のサンダースに、本誌ジェイソン・レモンが聞いた(取材はズーム経由で8月半ばに行われた)。
◇ ◇ ◇
──あなたの仕掛けた激戦州での世論調査によると、共和党の支持者でも過半数はあなたのような進歩派が掲げてきた政策の多くを支持している。似たようなデータは、私自身も別なところで目にしている。しかし民主党政権の下でも共和党政権の下でも、こうした政策は実現されていない。つまり国政に民意が反映されていない。なぜなのか。
いい質問だ。一番大事な点を突いている。こうしたデータが示しているのは、首都の政界や政治のプロ、そして商業メディアと市井のアメリカ人を分かつ深い亀裂だ。
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