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漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ日本の伝統文化? カギは大手メディアが仕掛ける「伝検」

ニューズウィーク日本版 / 2024年9月26日 17時0分

伝験には3級・2級・1級の3つの段階がある。3級・2級は知識中心の問題になるが、(2級合格者が受けられる)1級は日本の伝統文化の歴史や存在意義を語り伝えられる「アンバサダー」にふさわしい合格基準を設けたいと考えている。3級や2級で基礎と応用の知識があること、1級でより深い知識を語れることを示せれば、就職活動にも使えるかもしれない。

外国に住んでいる日本人から、受験したいという問い合わせも何件かあった。その国で日本のことを聞かれてあまり答えられなかったから学びたい、ということだろう。多くの人に似たような経験があると思うし、日本の伝統文化は国際人必須の教養とも言える。伝検は海外留学や海外赴任を控えている人たちにもおすすめする。

   新紙幣の千円札にデザインされた葛飾北斎の「冨嶽三十六景神奈川沖浪裏」STANISLAV KOGIKU―SOPA IMAGES―REUTERS

――逆に、インバウンドで外国から来る人たちのほうが日本文化に詳しいと聞く。

来日した中国人から聞いた話だが、日本の伝統文化に対する何か嫉妬に似た羨望すらあるようだ。中国国内には戦乱と革命で打ち壊されてほとんど残っていないものが、遣唐使や遣隋使が持ち帰った文物が日本に根付いており、しかも独自の要素を付け足しながら発達してきた。それを見るととても悔しい、と。日本の文化に対するあこがれのようなものがあるとも聞いた。

例えば、南宋時代に中国で作られた「曜変天目」という茶碗は現存するものが世界に3つしかなく、その全てが日本の国宝に指定されている。日本に持ち込まれて以来、日本が保管してきたが、中国にはない。

北京にも(国立博物館にあたる)故宮博物院はあるが、蒋介石が良いものを台湾に持って行ったため、台湾の故宮博物院のほうがよっぽど充実しているとも言われる。日本の伝統工芸品も、価値が分かる人がいなければ失われるか、流出していくだろう。価値が分かる人を育てることが重要だ。

――観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、今年4~6月の民芸品・伝統工芸品の購入者単価は1万3202円と、コロナ禍前2019年同期の8730円に比べて51%増えた。地方を訪れる外国人旅行者が伝統工芸品を買ったり、作ったりすることも人気のようだが、インバウンド活況の今、伝統文化には商機もあると考えるか。

インバウンドで来日する人の中には、非常に高価な伝統工芸品を買っていく人もいる。東京・青山にある、日本の伝統工芸品を数千点扱う「伝統工芸 青山スクエア」は連日、外国人観光客でごった返している。

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