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サルは選挙結果を予想できる? サルの判定と現実の勝敗が偶然以上の確率で一致...では、米大統領選2024の勝者は?

ニューズウィーク日本版 / 2024年9月27日 20時55分

※20世紀は25回中19回、身長が高いほうの候補者が当選した。ただし、21世紀に行われた5回の大統領選では2勝2敗1分(勝者オバマ氏と敗者ロムニー氏は身長が同じだった)。

これまでの研究から、顔(容貌)も選挙に影響していることが示されています。第一印象研究の第一人者である米プリンストン大のアレクサンダー・トドロフ教授は07年、「候補者について何も知識のない大人に写真を見せると、70%の精度で当選した候補者を選んだ」と報告しました。09年には、スイスのローザンヌ大の研究グループが未就学児に対して同様の実験をして、64~77%という高精度で当選者を当てることができたと発表しました。

ヒトは外見を含む第一印象によって他人を評価するという考えを裏付ける研究結果は豊富にありますが、これらの先入観の根底にあるメカニズムは未だ不明です。また、なぜ、何のために現代社会で存続しているのかも解明されていません。

今回、ペンシルバニア大の研究チームは、①広い顎や目立たない頬骨などの男性的な顔の特徴が選挙結果に寄与する、②サルが社会的優位性の判断基準に用いているシステムは、人間にも保存されているという仮説を立てました。そこで、候補者の背景や政策について知るはずがないアカゲザルを使って、視覚的特徴のみに基づいて勝者を当てられるかを実験しました。

アカゲザルは数十匹の群れで生活することが多く、集団では順位付けがされます。自分よりも地位の高いサルに視線を送り続けてアイコンタクトが起きると喧嘩の原因になるため、視線をそらす傾向があります。サルに対して、ボスザルとその個体よりも地位が低いサルの顔写真を並べて見せると、高確率で地位が低いサルの顔写真を見続けるという先行研究もあります。

研究者たちはこれらの習性を応用して、サルが長く見つめた候補者を「負け」、あまり見なかった候補者を「勝ち」として、実際の選挙結果とどのくらい合っているかを調べました。

激戦区では精度上昇

実験にはアカゲザルのオス3匹を使いました。彼らに1995年から2008年の間に行われた273回の米国知事選、上院選に出馬した候補者の顔写真を、勝者と敗者のペアにしてサルに見せると、54.6%という偶然以上の確率で敗者のほうに多くの視線を向けました。しかも、サルたちが両者間で見る割合の偏りが高ければ高いほど、勝者側の得票率が高いことも示されました。

さらに、アカゲザルの判定は、激戦区(両者の勢力が拮抗している地区)では精度が58.1%に上がることが明らかになりました。この結果は、実際の選挙で、激戦区の有権者が投票行動を決める「最後の一押し」に「顔」が大きく影響しているかもしれないことを示唆しています。

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