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サルは選挙結果を予想できる? サルの判定と現実の勝敗が偶然以上の確率で一致...では、米大統領選2024の勝者は?

ニューズウィーク日本版 / 2024年9月27日 20時55分

論文の中で研究者たちは「サルは、どの候補者の身元、政党所属、政策も知らなかったと想定される。アクセスできる唯一の情報は候補者の写真なので、サルは視覚的特徴に基づいて選挙結果と投票率を予測したことが示唆される」と主張しています。では、サルは具体的に顔のどのような特徴を判別して、視線に影響させていたのでしょうか。

研究者たちは、写真の候補者ペアが男女だった場合、女性に偏って視線を送る、つまり「負け判定を下す」傾向があることを突き止めました。そこで「サルは男性的な顔の特徴に敏感である」と考え、サルと人間のどちらにもオス(男性)に顕著に現れる特徴、①頬骨が狭い、②顎が広い、③顔の幅対高さの比率が高い、④下顔面突出が高い、について、写真を計測して確かめることにしました。

その結果、顎の突出度(顎の幅と頬骨の幅の比)がもっとも得票率に影響しており、平均すると、勝者の顎は敗者の顎よりも平均して約2%突出していることが分かりました。また、写真のペアが女性候補者同士の場合、より顎が突き出している女性に対してサルは「勝ち判定」を下す傾向があることも示されました。

見た目における顎の重要性について、研究者たちは「選挙のチラシやポスターでは、候補者のほとんどが笑顔で写っている。これは顎のラインが強調されることも理由かもしれない」と推測しています。

サルと人間に共通する男性的な顔の特徴は、思春期に血中の男性ホルモン(テストステロン)の値が高くなることによって現れます。アカゲザルは顎の突き出た男性的な顔立ちの人間を、より地位の高い者と認識しました。つまり、男性的な顔を社会的地位の高さと結びつけて考えているということです。

サルの判定が現実の選挙結果と偶然以上の確率で一致しているということは、「顔に対する偏見が、人間とサルの間で共有されていることが示唆される」と研究者たちは述べています。

もっとも、選挙結果のすべてが「顔の男性度の強さ」で決まるとすれば、女性候補者は男性候補者に対してほぼ勝てなくなります。けれど、実験で使われた期間の選挙では、男女が競った選挙の約半数(48.8%)で女性候補者が勝ちました。

このことは、「選挙において、人間は顔以外の要因もちゃんと考慮している」とも考えられますし、実験で使ったアカゲザルはすべてオスだったので「リーダーを選ぶ時に、メス(女性)には別の判断基準がある」と言えるのかもしれません。

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