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1800年ぶりの「諸葛丞相」誕生に『三国志』ファンが沸く...中国共産党の未来は「超サラブレッド」諸葛氏が担う?

ニューズウィーク日本版 / 2024年10月4日 9時20分

中国共産党では〝大物〟の上司に気に入られることが出世のパスポートとなる。彼はそうした意味でも上司運に恵まれた人物だ。加えてそもそも上海市のトップは、次代の最高指導部入りの可能性が濃厚な高官が就任する特別なポストでもある。

諸葛宇傑は、これまで一貫して上海で働いてきたが、2023年3月に湖北省に転出した。人事異動を伝えた当時の報道の扱いは比較的大きかったため、必ずしも左遷ではなく、有力者が彼の今後の出世を見込んで他地域での勤務を経験させようとした結果かもしれない。

一方、中国共産党は幹部の個人情報をあまり明かさないため、諸葛宇傑の両親や一族についての事情は公開されていない。ゆえに、彼が三国志の軍師・諸葛亮と血縁関係を持つ人物であるかも、現時点では不明である。

諸葛亮の子孫を称する人たち

とはいえ諸葛宇傑が、諸葛亮やそれに近い人物の子孫(という言い伝えを持つ一族の出身者)であっても、それほど不自然ではない。

中国公安部が発表した2021年の姓氏データによると、中国における諸葛姓の人口は約4.9万人。彼らのうちの約39%が浙江省、約24%が広西チワン族自治区、約23%が山東省に分布する(ちなみに司馬姓は2.5万人、夏侯姓は1.1万人、皇甫姓は6.5万人である。司馬懿や夏侯惇・皇甫嵩など、三国志の物語ではお馴染みの複姓は、現代中国ではかなり珍しいのだ)。

調べてみると、諸葛氏が多いのはまず諸葛亮の故郷の琅邪郡に近い山東省臨沂市付近で、「諸葛城」という地名も見つかる。

 

また、浙江省蘭渓市には諸葛亮の後裔を称する人たちが住む諸葛八卦村があり、この村は明代の古建築が多く観光名所になっている。ほかにも浙江省温州市付近に諸葛姓の人たちが多くいる。

浙江省の諸葛氏たちの複数の族譜(父系の祖先を記した一族の歴史書。内容が事実とは限らない)によると、諸葛亮から14世代後の子孫とされる諸葛浰が、浙江省における諸葛一族のはじまりだという。

諸葛浰は五代十国時代の10世紀半ば、華北の混乱を避けて南下し、紹興県や寿昌県(いずれも現在の浙江省)の県令を務めて現地に根付いたとされる。

一方、上海は19世紀半ば以降に発展した歴史の浅い都市で、中華人民共和国の成立前からの上海市民の多くは、隣接する浙江省からの移住者やその子孫である。浙江省の有力氏族である諸葛氏からも移住者がいた可能性は高い。

諸葛宇傑も、彼らの末裔ではないだろうか(余談ながら、上海の人民代表委員〔市議に相当〕には、清朝皇族の末裔かと思われる愛新覚羅徳甄という女性議員がいる。2010年代半ばには、諸葛宇傑も同市の人民代表委員を務めていたため、当時の上海では愛新覚羅氏と諸葛氏が議場で市政を論じる奇観が見られた)。

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