小惑星衝突の脅威は「核兵器」で軽減できる? 「第2の月」出現中のいま知りたい「地球防衛研究」の最前線
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月9日 17時50分
2024PT5が11月末に地球の周回軌道から外れると聞くと、地球に落下するのではないかと心配する人もいるかもしれません。けれど、これまでの「第2の月」と同様、太陽の重力に捕まって再び太陽の周りを周回すると考えられています。
小惑星が地球に近づく時期の予想をモデル化
地球近傍には、現在36000個以上の小惑星が見つかっています。それほど多く、しかも今後も見つかり続けるのであれば、監視の目をくぐり抜けて地球に衝突してしまう小惑星が現れかねないのでしょうか。
NASAは、万が一衝突した場合に甚大な被害が見込まれる直径1キロ以上の地球近傍小惑星約1000個のうち、95%以上について、すでにカタログ化しています。さらに21年に新しい小惑星衝突監視アルゴリズムを開発し、「新たに発見された小惑星でも、1時間もかからずに今後 100 年間の衝突確率を確実に得られる」と報告しました。
また、米コロラド大などによる研究チームは23年、独自の計算方法を用いて小惑星が地球に近づく時期の予想をモデル化し、予測期間を1000年先まで延長することに成功しました。この研究を主導した、コロラド大のオスカー・フエンテス・ムニョス博士は「私たちの知る限り、今後1000年間は地球に小惑星は衝突しないでしょう」と語っています。
日本では最近、25年の7月5日に小惑星が衝突するかもしれないという噂が広がっています。もちろん、災害の予想に絶対はありませんが、少なくともNASAをはじめとする小惑星の監視機関は、噂を肯定するような観測・分析結果を発表していません。
地球近傍小惑星は、地球に近く、重力が小さいことから、将来的には月や火星よりも気軽に資源の採掘に訪れたり、惑星探査の中継点として利用したりできるかもしれないと夢を膨らませる科学者も少なくありません。必要以上におそれず、小惑星がもっと身近になる時代を待ち望みたいですね。
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