米空前の住宅バブルは与党候補ハリスに有利に働く?──研究論文
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月10日 10時13分
トランプは、住宅購入が難しい現状への具体的な対策をあまり詳細に語っていないが、不法移民を阻止して住宅需要を減らし、アメリカ人に住宅を開放すると語っている。
住宅供給増には時間がかかる
「特に金融危機後の大不況と最近のコロナ禍のために住宅供給が鈍化したため、拡大する需要に応えるには相当な数の新築が必要になる」とティドウェルはみる。さらに「新規の建築を通じて住宅供給を増やすことを目指す計画は長期的な解決策を見据えたものだが、住宅購入能力に直接、影響をもたらし、人々がその効果を実感するには時間がかかる。税制優遇措置や立法措置、金利引き下げなどによる政策イニシアティブのようなより短期的な対策は、賃借人や購入希望者にとって、より迅速な救済になり得る」とも言う。
住宅価格が下落した場合に、これらの政策が住宅所有者とその投票行動にどのような影響を与えるかは明らかになっていないが、すぐには変化はないだろう。
ブルッキングス研究所ハッチンス財政・金融政策センターのデービッド・ウェッセルは、住宅市場は重要ではあるが、11月の投票で有権者が考慮する多くの要因の1つにすぎないと指摘する。
「住宅価格を多くの有権者が気にしていることは明らかだ。だからこそ、政治家は住宅について語る。ただし、今回の選挙が、ハリスとトランプの住宅政策の比較で決まることはないだろう」と、ウェッセルはみる。
「民主主義の未来、アメリカの同盟関係の在り方、法の支配、中絶の権利など、もっと大きな問題がある。こんにちの住宅市場には勝者と敗者が存在する。住宅を所有する人は価格上昇の恩恵を受けているが、初めて住宅を購入しようとしている人はそうではない。そして、アメリカ人の3分の2が住宅所有者であることを考えれば、計算は簡単だ」
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