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エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明かす意外な死の真相

ニューズウィーク日本版 / 2024年10月11日 10時50分

さらにジュニパーは赤みを帯びた植物の染料ヘナと共に、彼女の髪を染めるために使われていたことも判明した。これらの発見は古代エジプトで防腐剤がどのように取引されていたかを示すさらなる証拠になると、サリームは考えている。

「ハトシェプストが率いた遠征隊は、プント国から乳香を運んでいた」と、彼女は言う。プント国とは古代エジプトの貿易記録でしか知られていない旧王国で(現在のエリトリア、エチオピア、ソマリアなどに位置していた可能性がある)、芳香樹脂や黒檀(こくたん)、象牙、金などを輸出していた。

しかし高価な輸入防腐剤が使われていたことが示唆するように、もし苦悶の表情がずさんなミイラ化作業の結果ではないとしたら、何が彼女の表情を静かな悲鳴の中に凍り付かせたのか。

「叫んでいるような表情は、死体のけいれんで起きたとも考えられる。女性が痛みや苦しみで悲鳴を上げながら死んだことを示唆している」と、サリームは考えている。

死体けいれんとは死後の筋肉硬化のまれな形態で、極度の肉体的・精神的ストレスに関連するといわれる。死後硬直はそこに至るのに何時間もかかり、症状は一時的だが、死体けいれんは瞬時に起こり簡単には収まらない。女性の遺体を防腐処理した人物が、彼女の口を閉じられなかったのはこのためかもしれない。

死亡後にミイラとなり、現代に神秘的な謎を投げかける「叫ぶ女」は「本物のタイムカプセル」だと、サリームは考えている。

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