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リアリストが日本被団協のノーベル平和賞受賞に思うこと

ニューズウィーク日本版 / 2024年10月22日 14時42分

国家は、軍事力を使用したくなければ、軍事力を持たなくてはならない。そして、超大国は、ほかの超大国が核兵器を用いることを防ぐために、自国も核兵器を持つ必要があるのだろう。

しかし、問題は残る。思わぬミスにより核兵器が使用されてしまう可能性だ。どれほど手厚い「安全装置」を設けても、正しく機能しないときはある。1962年、73年、79年、80年、83年、84年に、世界は主として些細なミスが原因で核による破滅の一歩手前まで行ったことがある。

「理性に基づく理想」を持つことの大切さ

世界が多極化して核保有国が増え、核兵器関連のテクノロジーが高度化した結果、意図せざるミスが破滅を招くリスクはますます高まっている。私のような現実主義者たちも、少なくとも60年代後半以降は、核抑止政策を支持しつつも、核廃絶を提唱するようになった。

その点では、人間がミスを犯す動物だと知っている現実主義者も、痛ましい経験を通じて崇高な理念を掲げる理想主義者も、目指すところは同じだ。日本被団協のノーベル平和賞受賞は、人間の能力の限界から逃れられない世界において、理性に基づく理想を持つことの大切さを改めて浮き彫りにするものと言えるだろう。

【動画】英BBCの広島原爆投下再現ドキュメンタリー

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