中国が仕掛ける「沖縄と台湾をめぐる認知戦」流布される5つの言説
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月30日 20時12分
しかし、不思議なことに1と2に関しても日本政府や沖縄県を主たるターゲットにしているわけではでない。
前項でご紹介したように作戦はいずれも中国語で中国由来のSNS(Weibo、Douyin、TikTok)中心に行われているのだ。その目的について、報道した新聞では日本へのゆさぶりや分断工作、あるいは中国国内の世論操作といった解釈がなされていた。
しかし、どちらの解釈も少し遠回りすぎるように思える。実は海外では、沖縄認知戦についてもう少し具体的で切実な問題と合わせて語られることが多かった。ここであげた4、つまり台湾問題である。
親中派インフルエンサーの活動
近年の沖縄認知戦について海外では中国の台湾併合を目指した活動の一環として分析されることが多いようだ。
あるいは台湾併合も含めたアジアにおける中国の戦略の一環として語られる。台湾の調査報道機関であるThe Reporterの分析によると、G7外相会議開催とSNSでの沖縄に関する投稿の増加が連動していたと分析している。
沖縄(琉球)独立を熱心に発信している親中派インフルエンサーの動きも台湾をかなり意識している。沖縄(琉球)独立を発信している親中派インフルエンサーでもっとも有名なRob Kajiwara(ロバート・カジワラ、比嘉孝昌、魏孝昌、梶原孝昌などの別名がある)は、ハワイ生まれの日系4世(沖縄のメディアは彼を「県系4世」と称している)。
彼は前項であげた、「沖縄県の米軍基地への反対」、「沖縄(琉球)独立の主張」、「中国と琉球の交流」、「台湾は中国の一部分という主張の支持」を訴えている。
彼にはWeiboで124,000人のフォロワーがおり、辺野古基地移転反対の署名を20万人以上から集めたこともある。国連で演説を行うという国際的な活動も行っていて、2019年には沖縄からすべての米軍基地の撤去と、独立を求める団体「琉球和平联盟」を設立した。
ハワイ、アラスカ、西パプア、カタルーニャ、カシミールなど、独立運動を行う他の地域との連帯も表明している。アメリカの親中NPOのコード・ピンクやノー・コールド・ウォーなどとも関係があり、国際的に活躍している。
最近では「占領された沖縄」というドキュメンタリー映画を製作した。予告編がYouTubeにアップされている。
映像の中で彼は沖縄の人々に立ち上がることを訴えているが、言語はすべて英語となっている。注目すべきは予告編1分32秒で映される「国連勧告」だ。2008年以降、国連は日本に対して沖縄に住む人々を先住民と認めるべきであるという勧告を6回出している。外務省はこれに対して、先住民という認識はないと対応している。
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