北朝鮮を頼って韓国を怒らせたプーチンの大誤算
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月24日 17時42分
露朝の悪だくみの代償に、韓国は自国の武器をウクライナに供与する?写真は訪朝を終えたプーチン(右)金正恩(6月19日、平壌国際空港) Sputnik/Gavriil Grigorov/Pool via REUTERS
エリー・クック
<韓国はNATO以外でNATO型兵器を供給できる最大級の軍需大国。これまでウクライナに対しては人道支援に留めていたが、「露朝同盟」は座視できない>
北朝鮮軍部隊がロシア軍と肩を並べてウクライナの前線で戦うことになるかもしれないという見通しに、韓国は北朝鮮への対抗上、初めてウクライナに武器を供与することを検討している。そうなればロシアの思惑とは裏腹に、ウクライナに強い追い風が吹くことになる。
韓国はこれまで同盟国アメリカと歩調を合わせ、ウクライナを支援してきたが、医薬品の提供など人道的な支援に限定し、殺傷兵器の供与は拒否してきた。
軍事物資に関しては、ウクライナに武器支援をしているアメリカなどに補充用の武器弾薬を輸出することで、いわば間接的な支援を行ってきただけだ。
だがその韓国が10月22日、北朝鮮とロシアに対し「段階的な措置」を取ることを検討していると発表。ウクライナへの「攻撃用」兵器の提供もあり得ると、大統領府高官が言明した。
そうなれば、韓国の対ウクライナ政策は大きな転換を遂げることになる。ロシアへの攻撃を続行するために必要な武器弾薬と自国の防空に必要な迎撃ミサイルが手に入るとあれば、ウクライナにとっては願ってもない展開だ。
開戦から2年半余り、ウクライナ、ロシア共に前線の兵士は疲弊しきっている。過酷な冬を越すには、何としても補給物資を確保したいところだ。
「捨て駒となる新兵の募集が困難になればなるほど、この違法な戦争で(ロシアのウラジーミル・)プーチン(大統領)はますます北朝鮮に頼るようになる」と、バーバラ・ウッドワード英国連大使は、国連安全保障理事会の会合で指摘した。
韓国政府は北朝鮮とロシアの軍事協力を「違法」と非難。駐韓ロシア大使を召還し、北朝鮮兵士をロシアから「即時撤収」させるよう要求した。
韓国は「この状況を傍観したりはしない。国際社会と強固に連携して、しかるべき措置を取る」。金泰孝(キム・テヒョ)国家安保室第1次長のコメントを聨合ニュースが伝えた。
韓国がロシアと北朝鮮の軍事協力に神経を尖らすのは、軍事境界線を隔てて睨み合う北朝鮮が、ロシアの技術援助を受けて軍備を近代化し、核開発も進めて、それを韓国に対して使う恐れがあるからだ。
韓国は、ウクライナにおける北朝鮮の活動を監視するため、自国の軍事・情報要員をウクライナに派遣することも検討していると、聨合ニュースは22日付けの別の記事で、匿名の情報筋の話として伝えた。
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