自民大敗、でも石破続投......なら、次の政局はいつ、どんな形で訪れるのか?
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月29日 10時31分
派閥パーティー券裏金疑惑を受けて昨年12月、当時の岸田文雄首相は旧安倍派所属の閣僚一斉更迭に踏み切ったが、そうした「安倍派パージ」の着地点の一つが今回の選挙結果に現れた面がある。今回の公認決定を巡る禍根は今後、自民党内の権力闘争の火種になる可能性があるだろう。
第三に、政治改革、特に「政治とカネ」を巡って、政治不信に端を発した「議会政治の弱体化」が顕著になったという点だ。派閥パーティー券裏金疑惑はもっぱら自民党派閥の問題だったが、政党から議員に支給される政策活動費の廃止あるいは透明化、政治資金監査の第三者機関設置、旧文通費(調査研究広報滞在費)の透明性確保あるいは経費処理化(渡し切りの廃止)、企業団体献金の禁止あるいは適正化(政党支部への寄付禁止または規制強化等)は、各政党共通の課題でもある。
しかし、通常国会で成立した改正政治資金規正法は不十分なものだった。にもかかわらず再改正のための議論は、一向に深まらず、そのまま総選挙に突入した感がある。総裁選で高市早苗候補を推した自民党員・有権者による投票忌避もあったかもしれないが、課題を迅速に解決できない政治、問題を先送りにする議会政治そのものに対する有権者の失望こそが、53・85%という今回の投票率(小選挙区投票率)に現れていると言えるだろう。政権交代が起きた2009年総選挙の投票率は69.28%だった。
個別議員への多数派工作が今後14日間の焦点
今後の行方はどうなるか。まず11月11日の招集が予定されている特別国会で誰が首班に指名されるだろうか。与党が過半数割れを起こしたということは、論理的には、オール野党が統一候補として野党第一党である立憲民主党代表の野田佳彦元首相を推せば、政権交代が起きることを意味する。しかし各野党の事情に照らすと、現実的とは言い難い。
さりとて石破首相が連立枠組みの拡大を期して国民民主党等と提携するとしても、首班指名選挙で自らの名前に投票してもらって過半数を得られる保証があるとは限らない。したがって上位2名による決選投票を前提に、そこで1位を取ることが当面の目標となり、相対的に多い得票を目指して(白票や無効票の存在を考えると過半数を取る必要はない)、無所属議員の協力取り付けや追加公認での自民党会派入りの働きかけがなされるのではないかと思われる。つまり政党単位での合従連衡(連立政権の拡大あるいは政策ごとの部分連合の形成)の模索と並んで、個別議員に対する多数派工作が今後14日間の焦点となるだろう。
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