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「子供がいる女性の部下は早く帰らせよう」は間違い? 組織の成長を阻む「性別ガチャ」の克服法とは

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月9日 19時0分

女性社員は自分たちへの期待に感激しますし、旦那さんも誇らしく思うんですよね。このように、復帰の入り口でカップル両方に語りかけて自然と共育てを促す施策は、企業規模を問わず取り入れやすいように思います。

──ダイバーシティ推進担当者から、「経営層にDEIや女性活躍推進への強いコミットメントが見られない」という悩みを聞くことがあります。こうしたケースで、経営層にどんな働きかけができるでしょうか。

具体的な対策になりますが、年に一度の経営方針発表会やダイバーシティ会議のような場でトップに必ず話をしてもらい、その様子を企業ホームページの目立つところに掲載するんです。採用のイベントでダイバーシティの方針を語ってもらうのもいいですね。

それが「わが社のダイバーシティ宣言」という対外発信として広がり、顧客や採用の候補者からポジティブな反応がきます。「取引先から御社の取り組みは素晴らしいといわれました」「新卒採用で学生から好評でしたよ」といった良い反響を、担当者からトップに伝える。するとトップは嬉しいし、「好評なら来年もやるよ」と動き始めていく。こんなふうにトップをその気にさせると、トップの意識が変わり、現場の管理職層の意識・行動も変化していきます。

多様性のあるチームは、葛藤を経て成長する

──多様性のあるチームは経営戦略上も重要だといわれていますが、そうしたチームづくりを進めるうえでリーダーへのアドバイスはありますか。

大事なのは、多様性のあるチームづくりが大変だと知ることです。ダイバーシティ&インクルージョンを大事にしたチームづくりに役立つ本に、『多様性の科学』という本があります。

その本によると、ある実験で、「属性が似ている人のチーム」と「属性が多様な人のチーム」に課題を出して競わせたところ、より高いパフォーマンスを出せたのは「属性が多様なチーム」だったそう。ところが、1つ面白い発見があります。それは、それぞれのメンバーに感想を尋ねたら、「属性が似ている人のチーム」は「面白かった」などの反応をするのですが、「属性が多様な人のチーム」では「議論が激しくなり、大変だった」などと葛藤の様子がうかがえるんです。

ここからわかるのは、多様性があるチームで協働するのが大変なのは当然ということ。これは私自身が日経xwomanの編集長をしていたときの実体験とも符合しています。

チーム内で多様な意見が出て議論が紛糾し対立が生まれると、リーダーは「みんなの意見がまとまらないのは私の力量不足では」などと自分を責めるかもしれません。ですが、そうではなく、多様性あるメンバーがチームとして力を発揮していくために必要なプロセスと捉えると、気がラクになるのではないでしょうか。

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