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第二次トランプ政権はどこへ向かうのか?

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月7日 21時20分

ウクライナを「停戦」させられるか

3つ目は、ウクライナ戦争の落とし所です。トランプ氏はプーチン氏と相談して停戦へ持っていくとしています。また、バンス氏はウクライナはアメリカの生命線になるような国益では「ない」と言い切っています。マスク氏にしても、プーチン氏との個人的関係を隠そうとしません。

そんな中で、では今回にトランプ氏に入れた巨大な票は、NATOの結束を緩め、ウクライナの一方的な敗戦を認めるかというと、そこまで考えたうえでの投票行動ではないと思います。つまり、ウクライナ問題には今回の争点として民意の判断は無かったとも言えます。そんな中で、トランプ氏にできることには限りがあります。

何よりも、プーチン氏自身の中に戦時体制と戦時経済による求心力維持、これに依存する部分があるのであれば、多少の好条件でも停戦をのむ選択はないのかもしれません。仮にそうした大局的な観点から「自分が当選したら即時停戦して見せる」という発言が、シリアスなものではなく、現実的な、つまりNATOや西側同盟の基盤を壊さない方向に着地する可能性も残っていると思います。

これは時間的には待ったなしという面があり、二期目の政権の性格を占う上での試金石になると思います。ちなみに、議会の上下両院の議席はまだ確定していませんが、少なくとも共和党は上院の多数を占めることは確定しています。一見すると、トランプ氏には有利なように見えますが、上院の多数派が持つ権力は大きく、例えばNATOの結束を守るということでは、仮にトランプ氏が相当に手を突っ込みそうになった場合には議会共和党が防波堤になる可能性も残っています。

いずれにしても、世論や政財界も、トランプ氏の性格については既知であるというところが、一期目とは大きく異なります。結局は、暴言を軸とした無謀な政治ではなく、実現可能な保守政治へと軟着陸してゆく、それが二期目の行く末の可能性としては大きいと思います。経済と外交でそのようなカラーが見えてくるのかどうか、これからの動きに注目したいと思います。

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