習近平は「総書記」と「国家主席」どちらが正しいのか?...中国政治システムの「本音と建前」
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月19日 16時40分
形式上はその通りです。「全人代」が国会のようなもので、ここから選出される「国務院」が行政を担う政府で、国務院を主宰するのが首相です。「国務委員」が首相を補佐するいわば閣僚です。
しかし、中国の政治システムでややこしいのは、国務委員は全人代(国会)の代表というわけではなく、共産党の指導を受けること。共産党が事実上、支配しているのです。
国会たる全人代で自由な討議が行われることはなく、議案を提出することもできません。立法も国家主席の選出も政策決定も軍事戦略も、すべて共産党の意向で決まります。
さらに全人代で選ばれる「国家主席」は、国家元首ですが、空席だったこともあるポスト。事実上の国の最高権力者は、共産党中央委員会の総書記なのです。
「国家元首のポジションが空洞なんてよくない!」と思ったのかどうか、江沢民(1926年〜2022年)と習近平は国家主席であり共産党総書記。ついでに言うと中央軍事委員会主席も兼務。つまり「ぜーんぶ私がやるので、ご安心を」とばかりに、絶大な国家権力を掌握していることになります。
合議制の常務委員にはある程度の意味がある
<中国の政治システム2「共産党中央委員会」>
さて、実際に国を動かしている共産党は、5年に一度「党大会」を開催。政治の中枢である「共産党中央委員会」のメンバーおよそ200名を決める “共産党の選挙” です。
中央委員会は党大会のすぐ後に “共産党のトップであり国の内閣” の役割である25人ほどの政治局員、その上のレイヤーである7人の政治局常務委員で、総書記を決める会議を行います。
その翌年に開かれる「全国人民代表会議」で国家主席が選出される──いやいや、事実上すでに決まっていて “出来レースでシャンシャンシャン” なわけですが──というプロトコルになっています。
2018年の憲法改正は、世界に衝撃を与えました。「常務委員は67歳が定年、総書記は2期まで」となっていたものの、「憲法を含むすべてのルールは事実上共産党の思いのまま」ですから、習近平総書記は在任中に「2期制をやめましょう」と改正。
総書記の座を守ったばかりか、側近で固めた常務委員の定年も事実上 “なし” になりました。
さらに2022年には、世界中が注目する中で、前総書記の胡錦濤が腕をつかまれて退場するという衝撃的なシーンもありました。
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