トランプ就任前に少しでもウクライナ領土が欲しい! 捨て身の猛攻でロシア軍の死者は過去最高に
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月13日 16時28分
ブレンダン・コール、ジョン・フェン
<ロシア国内クルスクのウクライナ占領地における反攻作戦では、ロシア軍は多数の死傷者を出しながら3日間で小さな村2つしか奪還できなかったと、専門家は言う>
ロシア軍が、同国クルスク州内を敵に向かって進軍している。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ドナルド・トランプが次期米大統領に就任する前に、ウクライナに奪われた領土を奪還する構えだ。
ウクライナがロシアのクルスク州に越境攻撃を開始して3カ月、ウクライナ軍の総司令官オレクサンドル・シルスキー大将によると、ロシアは、北朝鮮兵を含む「数万人の敵兵」を送り込み、ウクライナ軍を追い出そうとしているという。
トランプが米大統領選に勝利したことはウクライナにとって何を意味するのか、ウクライナと同盟国は固唾を呑んで見守っている。トランプは、この戦争を24時間で終わらせると宣言し、ウクライナに軍事支援することを繰り返し批判してきた。
英紙テレグラフは、英国防情報当局の分析を引用し、ロシアが国境付近の新たな発射地点からウクライナ軍占領地へ自爆ドローン攻撃を増加させる可能性が高いと報じている。
クルスク州での反攻作戦の勢いで、ウクライナ軍占領地の南の国境にあるスームィ州に攻め込む可能性もある、と同紙は伝えている。
プーチン大統領は、来年1月20日にトランプが大統領に就任して戦争終結を求めてくるまでの間に、ウクライナに奪われた全領土の奪還を試みるとNATOはみている。戦闘の激化は必至だ。
ウクライナのアナリストで、2014〜2015年に軍勤務経験のあるヴィクトル・コヴァレンコは、本誌にこう語った。「トランプが、ウクライナに対してより柔軟な対応と資源を認めることを期待する。ウクライナが、戦場での勝敗、停戦合意、和平合意、あるいはそのすべてにおいて、優位に立てるようにするためだ」
だがトランプの出方によって、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領のチームは「どんなシナリオも描けるようオープンでなければならない。核保有国と通常戦争で消耗戦を戦っているというのは、前例のない状況だからだ」
「従来とは異なる解決策が必要になるが、どのような解決策かは、現時点で予想がつかない」とコヴァレンコは付け加えた。
米国の独立系シンクタンク戦争研究所(ISW)は11月11日、クルスクに集結したロシア軍はウクライナ軍の主要前線に猛攻をかけ、スジャ北方にある陣地を奪還してダリノ東部を前進していると発表した。
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