バイデン政権は最後に飢餓直前のガザを見捨て、人道支援よりイスラエルへの武器輸出を優先した
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月13日 18時3分
マシュー・インペリ
<ガザ地区への人道支援を妨げているイスラエルに対して期限付きで改善を要求していたバイデン政権だが、このたび改善が見られたとして武器輸出の継続を発表。だが国際支援団体は悲惨な状況を報告している>
パレスチナ自治区ガザでの人道支援活動がイスラエル軍の妨害で困難になり、ガザの窮状も増している状況に対して改善を要求していたバイデン政権は、一定の改善が見られたとして、イスラエルへの武器輸出は従来どおり継続すると発表した。ただし、国際人道支援団体はガザ地区への人道支援は依然として厳しい状態にあると批判している。
バイデン政権は11月12日、イスラエルがガザへの人道援助活動を許可したため、状況は限定的ながら改善したと発表した。状況が改善しなければ削減すると言っていたイスラエルへの武器供与も、これまで通り継続することにした。一方、人道支援団体からの最新の報告書によれば、ガザの状況は、13カ月に及ぶ紛争のどの時点よりも悲惨なことになっている。
アメリカが軍事支援継続を発表したころ、ガザではイスラエルによる空爆で24時間の間に少なくとも46人が死亡した。医療関係者によれば、死者のなかにはイスラエルが人道支援区域として指定したエリア内の仮設食堂にいた11人も含まれている。
イスラエル軍はレバノンへの攻撃も続けており、12日にはベイルート南部郊外をはじめとする全土で18人が死亡した。
米国務省のベダント・パテル副報道官は記者団に対し、人道支援に対するイスラエルの姿勢は最近になって最近になって改善したとはいえまだ十分ではないし、継続しなければならないが、アメリカは「イスラエルがアメリカの法律に違反しているとは考えていない」と述べた。
「私たちはイスラエルに合格点を与えているわけではない」とパテルは述べた。「私たちは人道的状況の全面的な改善を望んでいる。こうした措置によって、今後も改善が進み続けることが可能になると考えている」
アメリカはイスラエルにとって最大の同盟国であり、最大の軍事援助国だ。国際人道支援団体がイスラエルはガザでの人道的アクセスの拡大を求めるアメリカの要求に完全に応えていないと述べているにもかかわらず、アメリカは武器輸出継続の決定を下した。
専門家は、ガザ北部の一部はすでに飢餓状態に直面している可能性がある、と警告している。(BBCの報道によれば、イスラエル軍が包囲するガザ地区で1日にトラック350台分が必要とされる支援物資も、まだ1日平均40台分ほどしか入っていない)。
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