1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

オードリー・タンは生活にも「/」を入れる...「スラッシュワーカー」になる方法、超える方法

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月15日 11時35分

では、「スラッシュ族」としての能力を磨くにはどうすればいいのか。まずは、とにかく好奇心を持ち続けることだ。好奇心の向く方向と、実際に何を学び、どんな技能を習得するかは直接の関係があるわけではない。何か一つのことに興味を持ったら、その背後には無数の技能と学問が存在する。

好奇心とは、ただ単に疑問の答えを見つけることではない。大事なのは好奇心を失わず、探求し続けることだ。

今の時代は程度の差はあれ、誰もが「スラッシュ族」の一面を持っている。これはテクノロジーの恩恵によるところが大きい。かつてはチャンスや人脈を手に入れるために今の仕事や家庭を犠牲にせざるを得なかったが、現在では多くの人がネット上でチャンスや人脈をつかんでいる。これも「スラッシュ族」が増え続ける一因だ。

オードリーは「職業だけでなく生活にもスラッシュを入れよう」と提案する。今、あなたが専業で働いているとしたら、自分のために20パーセントの時間を確保し、本業以外のコミュニティにその時間を使う。そうすることで少しずつ新たな人脈や専門知識を手に入れることができる。

決して複数の収入源を持つべきだという意味ではない。本業以外に自分を見つめ直したり、興味のあることを楽しんだりする時間を作ろうという話だ。

本業以外の時間を作ることのメリット

自分のための時間を作ることは、現在の仕事にもメリットがある。今の時代、どんな仕事をするにもジャンルを超えた「クロスオーバー思考」が求められるようになっている。スラッシュ生活で得た経験は、本業でも意外な発想や気づきのもとになるかもしれない。

オードリーがスペインのNGOに参加しているのは、EUやOECDとのつながりがあるからだ。台湾はこれらの組織の会員ではないため、「行政院のデジタル発展相」という立場では活動に関わることができない。しかし、NGOのメンバーという立場でなら参加できる。これは最大のメリットだ。

本業の仕事がすっかり嫌になって、ある日突然行方をくらましたり、世界一周の旅に出てしまったりする人がいる。だが、長い間カゴのなかに閉じ込められていて、急に扉が開いたらどうなるか。たいていの人は世界の広さに驚き、どこへ行くべきか見当もつかない。世界一周の旅に出たとしても、帰ってきたあと、次の一歩の踏みだし方がわからない。

こんなとき、本業以外のコミュニティで作り上げた人脈があれば、休職しようと退職して旅に出ようと、自分を受け入れてくれる場所は必ずあると信じられる。行くところがあると思えば、迷って呆然とすることもない。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください