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日本などG7は「気候変動対策への財政負担から逃げ続けてきた」...COP29でも向けられる厳しい目

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月16日 16時48分

「サヨナラ、化石燃料」と訴える環境団体のメンバー(15日、筆者撮影)

木村正人
<日本は排出削減対策が講じられていない国外の化石燃料エネルギー部門への公的直接支援を終わらせる方針を示しているが>

[バクー発]国際協力銀行(JBIC)が2016年以降、化石燃料ガス事業を拡大するため186億ドルを提供してきたことが国際環境NGO、FoEジャパンの調べで分かった。途上国の気候変動への適応と緩和を支援する「緑の気候基金」に日本が拠出する42億ドルの4倍以上に当たる。

オーストラリア、バングラデシュ、カナダ、インドネシア、モザンビーク、フィリピン、タイ、米国、ベトナムの事例をまとめたFoEジャパンの報告書によると、JBICは23年以降も化石燃料ガス事業に39億ドルの投融資を行い、現地住民の批判にさらされている。

日本は22年の主要7カ国(G7)首脳会議で「排出削減対策が講じられていない国際的な化石燃料エネルギー部門への新規の公的直接支援を同年末までに終わらせる」ことに同意した。「排出削減対策」の解釈について市民社会は日本政府が進める水素混焼に対して厳しい見方を示す。

「ガス田開発やガス火力発電事業に引き続き投融資」

JBICの林信光総裁は国際合意(排出削減対策)に整合しているかどうか確認しながら「ガス田開発やガス火力発電所のプロジェクトに引き続き投融資していく」方針だ。日本のエネルギー基本計画では2030年までにガス火力発電への30%水素混焼の導入・普及を目指している。

昨年、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれた国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の成果文書は「化石燃料からの脱却」を明記した。しかしCOPは3年連続で、化石燃料産出国で開かれ、天然ガスは過渡的エネルギーとして免罪符を得つつある。

アゼルバイジャンの首都バクーで開かれているCOP29には少なくとも1773人の化石燃料ロビイストが参加を認められたことが環境団体の連合体「キック・ビッグ・ポリューターズ・アウト」(大量排出者を排除せよ)の分析で明らかになった。

アゼルバイジャンは輸出の90%を化石燃料に依存

議長国アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領がCOP29の開幕演説で石油と天然ガスを「神からの贈り物」と述べ、自国を「中傷と脅迫の組織的なキャンペーン」の犠牲者に例え、石油・天然ガス産業を目の敵にする西側メディアと気候活動家に反論した。

アゼルバイジャンは予算の60%、輸出の90%を化石燃料に依存する。アリエフ大統領は米国と欧州連合(EU)の二重基準をやり玉に挙げる。化石燃料産出国の巻き返しが激化する中、化石燃料を燃やすことに途上国や市民社会からは一段と厳しい目が向けられている。

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