「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月19日 7時20分
ネット上には、双方のコメントをめぐって論理の飛躍した陰謀論的な言説も流れている。週刊文春は事前に相手のコメントを確認し了承していたのかどうか、文春側からも説明して欲しいと思う。
吉本興業にも「説明責任」がある
一部では「松本人志復帰論」も出ているが、地上波のテレビ出演など夢のまた夢だろう。松本人志が出演する番組のスポンサー企業は、「お金を払って自社のブランドイメージを下げる」という愚かしい結果を選択することとなる。そういう企業はあるだろうか。
私は「松本人志の性加害疑惑」について、週刊文春の第一報が出た直後は五分五分に近いグレーと見ていた。だが、その後の対応を見てだんだんクロの濃度が強まり、訴訟取り下げに至った現在は「真っ黒に近いグレー」と見ざるを得なくなった。
なぜなら、松本人志が一切の説明を拒んでいるからだ。「直接的な物的証拠」がなかったとしても、多くの証言や間接的な物証により、記事内容には「真実相当性があった」と捉えるのが妥当だろう。
今後は、吉本興業と万博協会(日本国際博覧会協会)の動きにも注目したい。吉本興業は性加害疑惑が報道された直後には
「当該事実は一切なく、本件記事は本件タレントの社会的評価を著しく低下させ、その名誉を毀損するものです」
と極めて強硬な姿勢を見せていたが、わずか1カ月後の24年1月になると
「当社としては、真摯に対応すべき問題であると認識しております」「外部弁護士を交えて当事者を含む関係者に聞き取り調査を行い、事実確認を進めているところです」
と急激に態度を軟化させた。言い換えれば「まともな会社」に変わっていこうとする姿勢を見せた。
こうなると、最初に「当該事実は一切ない」と断言していたのは、いったい何だったのかと思ってしまう。「『当該事実は一切ない』という発表は誤りだった」と訂正しなくて良いのだろうか。また、「事実確認を進めている」のであれば、その結果はいつ、どのように聞けるのだろうか。すでに10カ月という時間が経過している。
「大阪万博の顔」でいいのか?
吉本興業は大阪万博で「よしもと waraii myraii(ワライミライ)館」を出展することが決まっており、ダウンタウンの二人はアンバサダーに就任している。すなわち、わが国の国家事業の一端を担う立場にある。アンバサダーは、"大阪万博の顔"として万博の魅力を伝える役割があるという。
そんな公共性の高い事業を、今の吉本興業や松本人志に任せて良いのだろうか。
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