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日本のコロナ対策は本当に効果があったのか?...経済学で事後検証する

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月22日 10時50分

このように、コロナ対策のために増発した国債の大半は、2年以下の満期でしか発行できず、満期が10年以上の長期の国債はほとんど追加で発行できなかった。そして、満期が短期の国債は、返してはまた借り換えるという「自転車操業状態」ともいうべき状態に陥った。

その後に襲うインフレにも後押しされて、2020年度以降税収はコロナ禍でも過去最高を更新し続けているにもかかわらずである。

そうした財政難を知ってか知らずか、政治家は桁違いの追加予算でバラマキ財政を続けた。2020年度から2023年度までの国の補正予算では、年平均で35兆円も当初予算に加えて財政支出を増額した。コロナ前は、年平均3兆円だったことをすっかり忘れているようである。財政では「コロナ禍」はまだ終わっていないのだろうか。

本特集における経済学的な視点を通じて、コロナ禍での出来事を読者が振り返る契機になれば、編集委員冥利に尽きるところである。

土居丈朗(Takero Doi)
慶應義塾大学経済学部教授、アステイオン編集委員。1970 年生まれ。大阪大学卒業、東京大学大学院博士課程修了。博士(経済学)。東京大学社会科学研究所助手、慶應義塾大学助教授等を経て、現職。専門は財政学、経済政策論など。著書に『地方債改革の経済学』(日本経済新聞出版社、日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞受賞)、『入門財政学(第2版)』 (日本評論社)、『入門公共経済学(第2版)』(日本評論社)、『平成の経済政策はどう決められたか』(中央公論新社)などがある。

 『アステイオン』101号
 公益財団法人サントリー文化財団・アステイオン編集委員会[編]
 CCCメディアハウス[刊]
 

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イベントのお知らせ

アステイオンvol.101トーク「コロナ禍を経済学で検証する」
今回のアステイオントークでは、コロナ禍で果たした経済学の役割を振り返るとともに、経済学の専門知に対する他分野や世間からの信頼、インターネット社会における専門知の立ち位置について検討します。寄稿者から、医療経済学が専門の伊藤由希子氏、新型コロナ有識者会議のメンバーを務めた大竹文雄氏、読者を代表して科学と社会の関係に詳しい横山広美氏の3名をお迎えし、編集委員の土居丈朗氏の進行で予定調和なしのトークを繰り広げる予定です。

◆日時:2025年1月20日(月)16:00~17:30

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