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「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家、9時〜23時勤務を当然と語り批判殺到

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月19日 18時30分

スタートアップは「戦場」? 若きテック起業家の過激な主張に反響(写真はイメージです) Mitchell Luo-Unsplash

アリス・ギブス
<「ワークライフバランスは幻想」と断言する23歳の起業家。その言葉が、スタートアップ文化のあり方を巡る激しい議論を呼び起こしている>

23歳のテック企業創業者が、ワークライフバランス、そしてスタートアップの企業文化に関して、ネットの世界を広く巻き込んだ議論を引き起こしている。

この人物は、サンフランシスコ在住のダクシュ・グプタで、グレプタイル(Greptile)という企業の創業者だ。同社は、人工知能(AI)を用いてソフトウェア会社のバグ検知を補助するツールを構築している。グプタは先ごろ、自分の会社の過酷な労働環境について、X(旧ツイッター)に忌憚のない見解を投稿し、配下の従業員に対して期待する、非常に厳しい基準を明かした。

グプタは、自身の事業で大いに成果をあげる、特定のタイプの応募者を求めていることを自覚していると述べた。グプタは本誌の取材に、「私は、まさにこうした過酷な環境を求めている者のみを雇い入れたい。単に我慢して受け入れるだけでは十分ではない」と語った。グプタによれば、自身の会社には大手テック企業から転職してくる者が多いが、彼らは、こうした大企業では「仕事が少なく退屈していた」人たちだという。

グプタは自身の投稿で、採用面接の際に、グレプタイルには「ワークライフバランスは存在しない」ことを明確に伝えていると述べた。グプタの説明によれば、この会社での典型的な勤務時間は朝9時から夜11時までにおよび、さらに遅くなることもしばしばあるとのことだ。加えて、土曜出勤、場合によっては日曜出勤も必須だという。「私は、職場環境のストレスが高く、成績不振者に対して容赦しない点を強調している」と、グプタはXに綴った。採用候補者に対しては必ずこの点を伝え、就職後に自身を待ち受けている仕事がどんなものなのかを理解してもらっているという。

人事業務のプラットフォームを提供する企業リモートがこのほど発表した2024年版「グローバル・ワークライフバランス指数」では、アメリカは調査対象の60カ国のうち55位と、最下位に近い順位にランキングされた。アメリカのスコアは100点満点でわずか31.82で、1位のニュージーランドには50ポイント近い差を付けられている。日本(東京)は57.6で24位だった。

対照的に、ニュージーランド、アイルランド、ベルギー、デンマーク、カナダという、この指数でトップ5にランキングされた国々は、従業員に優しいポリシー、週労働時間の短さ、法令で定められた休暇制度などで名高い。例えばニュージーランドは、年間に32日間の有給休暇が与えられる、より穏やかな仕事文化を持つ国として知られている。「アメリカがこのランキングで下位に位置付けられたのは、この国にしっかりと根付いた、人間よりも利益を優先する資本家的な思考の枠組みのためだ」と、人事コンサルタントのブライアン・ドリズコールは、以前の取材で米ニューズウィーク誌に対して語っていた。

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