「健康食材」サーモンがさほど健康的ではない可能性...むしろエサのほうが栄養価が高かった【最新研究】
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月26日 14時45分
ロビン・ホワイト(ネイチャー担当)
<セレンと亜鉛はサーモンのほうが多かったが、エサとなるサバなど天然魚のほうが栄養価に優れていた...食べる魚の種類を少し変えれば、地球環境にも優しい>
健康食材の代表格であるサーモンは、これまで思われていたほど栄養価が高くない可能性があることを専門家が突き止めた。
英ケンブリッジ大学、ランカスター大学、スターリング大学、アバディーン大学の研究者が学術誌「ネイチャー・フード」に発表した研究論文によると、養殖サーモンでは9種類の栄養素のうち6種類(カルシウム、ヨウ素、鉄、オメガ3脂肪酸、ビタミンB12、ビタミンA)が失われることが判明した。
■【動画】ケンブリッジ大学のサーモン研究の動画 を見る
むしろサーモンの飼料となるサバ、アンチョビ(カタクチイワシ)、ニシンなどの天然魚を食べたほうがいいという。これらの魚には、カルシウム、オメガ3脂肪酸、ビタミンB12など、人間の健康に有益な栄養素が含まれている。
「(サーモンの)飼料に使われる天然魚の大半は微量栄養素の密度と種類の豊富さに関し、養殖サーモンの切り身と同等またはそれ以上の価値があることが分かってきた」と、本研究の筆頭著者でケンブリッジ大学動物学部のデービッド・ウィラーは述べている。
「サーモンを食べることを楽しみ、その養殖の持続可能な発展を支援する一方で、人々はより多くの必須栄養素を取るために、イワシ、サバ、アンチョビのような天然魚をもっと多く、もっと幅広く食べることを検討すべきだ」
この研究によれば、これらの天然魚の切り身はカルシウムの量がサーモンの5倍。ヨウ素は4倍、鉄、オメガ3脂肪酸、ビタミンB12、ビタミンAは1.5倍以上だった。ただし、セレンと亜鉛はサーモンのほうが多かった。
これらの天然魚に含まれる栄養素は、心血管疾患や脳卒中などの予防に役立つ。
「私たちは飼料用天然魚のカルシウムとヨウ素の約80%を無駄にしている。特に成人女性と10代の少女は、これらの栄養素を十分に摂取できていないことが多い」と、スターリング大学水産養殖研究所のリチャード・ニュートンは論文の解説で述べている。
「養殖サーモンは優れた栄養源であり、家畜や養殖魚の中で最高レベルの飼料変換能力を持っている。この産業が成長を続けるには、飼料魚に含まれる重要な栄養素をもっと効率的に摂取する必要がある。漁業の副産物や持続可能な方法で調達されたイカナゴのような飼料魚のより戦略的な活用が成功のカギだ」
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