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日本とアメリカの現状否定票、その共通点と相違点

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月27日 14時30分

40年に渡って沈み続ける日本経済

ですが、日本の若者の現状不満は全く違うと思います。DXが進まず、学校で習った英語では世界で通用せず、経団連を中心とした多国籍企業はどんどん産業を空洞化させ、国内にはロクな産業は残っていません。そんな中で、大卒5割の国で観光立国などという、異常な政策が進んでいます。そのくせ、残り少ない国富は高齢世代が使い果たそうとしているわけです。

少なくとも、韓国や台湾並みにはグローバリズムに適応して、もっとDXが入って、高齢労働力でなく、若者がもっと成功できるような改革をしてほしい、若者の深層心理にそのような主張があるのなら、そこには正当性があります。外資の改革はスルーするが、国内資本が起業して既得権益と敵対する改革に進むと潰される、そんな中で円はどんどん下がり続けて、留学もできない。世代間ということでは、機会の均等も結果の均等もない。つまり、日本の若者が置かれた現状は、アメリカよりも遥かに劣悪であり、不満を抱くことへの正当性ということでは、明らかに正しさがあると思います。

勿論、一方的で少ない情報に踊らされているような面もあるのは事実です。何よりも、現状否定の衝動は強くても、それを代案へとまとめあげ、戦略戦術を練り上げて過去世代を叩き潰す逞しさも賢さも全く見えてきてはいません。頼りないと言えば全く頼りないのは事実です。ですが、アメリカの現状不満が知的高付加価値社会における「負け犬の遠吠え」であるとすれば、日本の若者の現状不満は、グローバリズムに適応できずに40年にわたって沈み続ける日本の経済社会への異議申立てであるとも言えそうです。仮にそうであるなら、そこには正当性はあり、将来への希望の萌芽は見て取れるように思います。

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