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布製マスクの「製造過程」になぜメスを入れたのか?...田中弥生・会計検査院長に聞く「コロナ対策の事後検証」

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月18日 10時50分

ニューズウィーク日本版クイズ

田中弥生 + 土居丈朗(構成:髙橋涼太朗) アステイオン
<布製マスクの在庫は注目されたが、製造過程についてはあまり報道されていない...> 

布製マスク配布事業、持続化給付金事業、病床確保事業、巨額の予備費など、新型コロナ対策には財政支出が多額に投じられたが、その財政運営に会計検査院がメスを入れたことが話題になった。

その一端について、田中弥生・会計検査院長に本誌編集委員の土居丈朗・慶應義塾大学教授が聞いた。『アステイオン』101号の特集「コロナ禍を経済学で検証する」より「コロナ対策の『事後検証』――田中会計検査院長が語る」を3回に分けて転載。本編は第1回目。

◇ ◇ ◇

コロナ禍初期段階の会計検査院の対応について

土居 2019年度末頃のコロナ禍初期から新型コロナ対策が財政的にも注目され始めていましたが、当時は検査官(注1)であられて、新型コロナ対策に関して、会計検査院として何らかの対応が必要になるという予兆はあったのでしょうか。

田中 会計検査院は憲法90条に基づき、独立した立場から国の財政を監督する機関です。きちんと検査をして、次のパンデミックや災害のために教訓として歴史に残る記録を残さなければならないということを当初から議論していました。

土居 混乱状態のなかで記録を残すことがすでに議論されていたとは驚きです。しかし、これから何が起こるかも分からないなかでは難しかったのではないでしょうか。

田中 まずはそもそも新型コロナ対策に対して、何らかの指摘をするかどうかについて議論しました。コロナ禍が始まったばかりの試行錯誤している段階で「あれもこれも駄目」とは言えないだろう、と。ですから、初年度は見守ることになりました。

2021年秋に公表した令和2年度(2020年度)決算検査報告(注2)の第4章に「特定検査状況(特定検査対象に関する検査状況)」という項目があります。

これは「状況を見守ること」に関する項目で、「GoToキャンペーン事業」や「持続化給付金事業」などを入れました。翌年にはある程度状況が見え、判断ができるだろう。もし何かを指摘するのであれば、2022年(令和3年度決算検査報告)(注3)以降になるであろうことは幹部職員らとも当初から議論していました。

布製マスク配布事業について

土居 新型コロナ対策の中では、最初に布製マスク配布事業が話題になりました。これについては検査官、または会計検査院としてどのように動いたのでしょうか。

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