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税金が「何に使われたのか」という国民の声は大きくなっている...田中弥生・会計検査院長が掲げた「5つの目標」とは?

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月18日 11時5分

5つ目の目標は業務改革です。特に重要なのは検査結果の報告の時期を年1回から分散化・平準化することです。実はこれには我々の調査スケジュールや審議プロセスを根本的に見直す必要があり、また検査を受ける各役所の方々にも協力をしていただかなければいけないため一大改革です。

しかし、分厚い報告書を年に一度しか出さないことで、国会議員の方々やメディア、そして国民の皆さんの目に留まらないで漏れてしまう案件がたくさんあります。これは本当にもったいないことです。

土居 あの分厚い検査報告をメディアが報じようにも、その日のニュースは限られているから、ごく一部しか報道してくれない。しかし、これを仮に年4回に分ければ、4回機会があって、国民の目に触れるチャンスが4回に増えるということですね。それが国民の認知度を上げることにも貢献するという改革ですね。

田中 実は記者へのレクチャーをしたときにメディアが最も関心を示してくれたのは、この報告時期の分散化でした。その結果、与野党両方の議員の方からもポジティブな意見をいただいています。

土居 それはすばらしいですね。年1回の報告は会計年度の仕組み上やむを得ない部分もあります。しかし、会計検査はその予算のサイクルから多少独立してもいいと私も思います。

田中 実際に臨時国会が秋にあったとしても、常会は1月からで、決算の審議は4月頃になることが多いのでかなり間が空きます。ここはもう少し発表の仕方を工夫して、国会の記憶に残るような形で出していきたいと思っています。

土居 最後に新型コロナ対策予算の使われ方を今後に活かすための教訓として、会計検査院長として何かお考えになっていることがあれば、ぜひお聞かせください。

このインタビューは2024年7月に会計検査院で行われた。クレジットのない写真はすべて河内彩・撮影

田中 4点ほど、挙げたいと思います。第一に、新型コロナ対策の教訓として、スピードとコストの問題が大きかったと感じています1人10万円支給された特別定額給付金の支出額は、決算で見ると12兆7700億円となり、その給付に実に1000億円程度のコストがかかったと言われています。

日本は紙ベースの作業が多く、給付に数カ月を要しましたが、アメリカではソーシャルセキュリティナンバーを活用して、わずか1週間ほどで全額配布されました。この給付スピードの違いがコストに大きく反映されています。

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