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新型コロナ・病床に対する補助金「1日当たり最大43万6000円」は妥当だったのか?...診療報酬制度とのミスマッチ

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月18日 10時55分

田中 予備費は憲法87条に基づいており、議会の事前承認が必要な財政民主主義の基本となる第83条の例外です。議会の事前チェックなしで内閣の責任で使えるお金ですから、アカウンタビリティー(説明責任)が非常に重要だと思います。また、その執行状況、すなわち決算を検査するからこそ役立つ部分があるとも思っています。

予備費は、これまではかなり抑制的に設けられていました。新型コロナの前年には5000億円であった予備費は、2020年度には新型コロナ対策で約10兆円という前代未聞の予算額になりました。

最初は大まかな目安として10兆円の規模が設けられたのだと思いますが、実際にはどれほど使われたのかという点を明らかにして、議会や内閣にフィードバックすることが重要だと考えました。

土居 前代未聞、かつ「大まかな目安」である10兆円のどういう点に着目して検査をされたのですか。

田中 実は、その金額に着目する以前に、どのように検査するかというのが最大の難関でした。霞が関では「予算に溶け込む」という言い方をしますが、補正予算や予備費のみを取り出し、いくら使ったかということが今の決算制度では実は分かりません。そこを何とかできないかということを、2020年からずっと考えていました。

土居 決算書で分からない部分をどのように把握したのですか。

田中 現場力です。調査官が各省の担当課を回って1件1件調べてくれました。すると、各省で事業単位で施策登録の管理簿をつけていたということが分かりました。

そこで確信を得て、「事業単位でコロナ予算の管理簿をつけていませんか」と聞くと、実に相当数の管理簿が見つかりました。2019年度から2020年度末までに770ほどの事業が出てきました。その経験から、コロナ予備費も調べられるだろうと思いました。

しかし、次の壁は1つの事業に複数の財源が入っている場合で、予備費だけを取り出すのが難しい。そこで再び各省に確認したところ、財源別で管理されていることが分かりました。

財源の使い方には「先入れ先出し執行」、「予備費優先執行」、「補正予算優先執行」の3パターンしかなかったことがそこで初めて分かり、そこから予備費のみを取り出すことができたのです。

決算検査報告 提供:会計検査院

土居 現場の職員以外は誰も知らなかったということは驚きです。しかし、それ以上にどういう順番でお金を使い、どの財源がいくら残っているのかの整理簿や管理簿をきちんとつけて出納の面で管理していることは初めて知りました。

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