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幼い子がいる家庭の24%が「食料の貧困」...子どものチャンスを広げるため、英国で注目が集まる2つのこと

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月3日 18時20分

写真はイメージです 1000 Words/Shutterstock

木村正人
<毎朝20万人以上の子どもに無償の学校給食を提供する慈善団体と、フィナンシャル・タイムズ紙が設立した慈善団体>

[ロンドン発]英紙フィナンシャル・タイムズは12月2日付社説で「子どもたちの人生のチャンスを広げるために重要な2つのこと」と題し、無償の学校給食と金融リテラシーの向上に取り組む慈善団体への支援を呼びかけている。

子どもたちがお腹をすかして学校で学べないようなことがないよう、慈善団体「マジック・ブレックファスト」は各自治体と協力してイングランドやスコットランドの小・中等学校の子どもたち20万人以上に毎朝、無償の朝食を提供している。

最大20品目からなる「マジック・メニュー」は子どもたちに多様な食品と栄養素の選択肢を与えている。学校での朝食は子どもたちの学習、メンタルヘルス、社会的スキルをサポートする上で大きな役割を果たすことがさまざまな調査で実証されている。

英国で無償の学校給食を提供されるのは親が特定の福祉手当てを受ける子どもたちに限られている。今年1月時点で210万人の子どもたちが無償の学校給食を提供されている。コロナ危機の後遺症や福祉制度の変更で無償の学校給食を提供される子どもたちの割合は激増している。

イングランド全土の小学校最大750校で無償の朝食を提供

マジック・ブレックファストは「朝食は子どもたちに不可欠と位置づけ、すべての子どもが朝食を食べられるよう政府は行動せよ」と訴える。英国初の女性財務相レイチェル・リーブス氏は教育相エレン・ウィルキンソン(1891~1947年)のレガシー(偉業)を称える。

エレンは大戦時連立政権の44年、教育法施行の責任者として初めてすべての子どもたちが無償で中等教育を受けられるようにした。学校に通うすべての子どもたちに栄養価の高い給食を無償で提供することも約束した。45年のクレメント・アトリー労働党政権では教育相を務めた。

4歳未満の子どもがいる世帯の24%が「食料の貧困」に陥る

エレンは47年に急逝し、無償の学校給食は長続きしなかった。エレンの遺志を受け、スターマー労働党政権はイングランドの小学校750校で無償の朝食を提供することを約束し、来年度予算に3300万ポンド以上を計上した。しかし学校側の準備が整わず26年4月まで延期された。

英シンクタンク「教育政策研究所」の報告書によると、今年1月時点で4歳未満の子どもがいる世帯の24%が「食料の貧困」に陥っていた。年長の子どもがいる世帯では19%だった。「食料の貧困」は子どもの教育にも悪影響を及ぼし、認知発達や数学、語彙力の低下と関係していた。

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