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「代替療法で治る」に騙されてはいけない...科学的根拠ゼロの「がん治療体験」をセレブが広める問題

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月4日 17時35分

ロシアの航空ショーMAKSで展示された対砲兵レーダー「ズーパーク」(2005年7月、モスクワ州ジュコーフスキー) Public Domain

アリス・コリンズ for WOMAN
<「失敗例には全く触れない」「とても腹が立つ」...すがりたい気持ちに付け込む、ちまたにあふれる、科学的根拠のないがんの代替治療について乳癌サバイバーの医師がメスを入れる>

イギリス在住のリズ・オリオーダン(50)は乳癌の治療法に詳しい。元乳腺外科顧問医師で、彼女自身2015年に乳癌と診断され、闘病を続けてきた。

乳房切除手術、抗癌剤や放射線、ホルモン阻害薬による治療。いずれも確実に信頼できる方法だが、代替療法を試したがる患者が増えているという。

今年9月にはオーストラリア出身のモデル、エル・マクファーソン(60)が、17年に乳癌と診断され、抗癌剤などを使わないホリスティック療法を選んだことを公表。元MTV司会者アナンダ・ルイス(51)もこの10月、18年にステージ3の乳癌と診断されたが乳房切除手術を拒否したことを明かした(その後、癌はステージ4に進行)。

こうした補完・代替医療(CAM)の利用は1970年代の約25%から2000年以降は49%と、近年増加傾向にある。昨年のある調査では、癌患者の52%がCAMを利用、5%がCAMを優先して従来型の治療を後回しにしていた。

オリオーダンは癌と診断されたのを機にオンラインでCAMについて調べ、誤った情報の多さにぞっとしたという。

「主流派の医師なら絶対に治るなんて言えないが、代替療法や(自然治癒力を高めるという)ホメオパシー療法の医師の中には治ると請け合う者もいる」とオリオーダンは言う。「私は再発予防のための治療を拒否する患者にてこずった経験がある。理解できず、とても腹が立った」

「女性たちにもっと良識ある情報を提供したくて乳癌のガイドブックを書いた」と言うオリオーダンは、特に人気の代替療法の嘘を著書『The Complete Guide to Breast Cancer(乳がん完全ガイド)』で暴いている。その一部を紹介しよう。

ジュースクレンズのような科学的根拠のない「治療法」を優先する傾向に警鐘を鳴らす VERA_PETRUNINA/ISTOCK

ジュースクレンズ

栄養豊富なスムージーを飲めば癌予防になる──。そんな説を信じている人たちもいる。だが「ジュースで癌が治るという科学的根拠は全くない。それで癌が治ったと主張する人たちは大抵、最初に外科手術を受けている」とオリオーダンは言う。

「手術で癌を切除した後にジュースで再発を予防している。果物や野菜の豊富なヘルシーな食生活で体重を健全なレベルに保てば、再発リスクを減らせることが分かっている」

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