ジンベエザメを仕留めるシャチの「高度で知的」な戦略...巨大な獲物を狩る様子を研究チームが撮影
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月8日 13時5分
トム・ハワース
<世界最大の魚であるジンベエザメを戦略に沿った行動で狩るシャチの群れ。各地のシャチは、それぞれの環境や獲物に適した戦略を駆使することで知られている>
カリフォルニア湾南部に暮らすシャチたちの、驚くべき「狩猟戦略」が研究者たちによって記録された。シャチたちは群れで巨大なジンベエザメを狩り、その臓器を取り出していた。そこでの記録や撮影された写真からは、シャチの群れが高度な戦略に沿って知的に連携しながらそれぞれの役割を果たして「世界最大の魚」を狩る様子を見ることができる。
■【写真】シャチの驚くべき「狩りの戦略」を撮影...高度な戦略で「巨大な獲物」を仕留めるテクニック
メキシコの研究チームが、2018年から2024年にかけて観察された4つの事例を報告した。いずれのケースでも、シャチたちは協力しあい、体長18メートルに達することもある世界最大の魚ジンベエザメを仕留めた。
海洋科学の学術誌『フロンティアーズ・イン・マリーン・サイエンス』に2024年11月29日付で発表された論文には、シャチの群れが高度に連携し、巨大な獲物の動きを止める方法が記述されている。
論文の責任著者ジーザス・エリック・イゲラ=リバスは、「狩りにおいて、シャチの群れは全員で協力しあい、ジンベエザメに何度も体当たりし、その体を(仰向けになるよう)ひっくり返す」と説明する。
イゲラ=リバスによれば、この形で攻撃を受けたジンベエザメは「擬死」と呼ばれる状態に陥る。こうなるとジンベエザメはしばらく動くことも逃げることもできなくなるという。
シャチの群れはジンベエザメを襲うとき、筋肉や軟骨が少ない腹部を狙うようだ。この戦略的なアプローチにより、特に脂質が豊富で栄養満点の肝臓など、重要な臓器を取り出しやすくなる。
今回の発見が提起する海洋生態系の保全に関する疑問
モクテスマと名付けられた雄のシャチが、記録された4回のうち3回の狩りにいた。群れのメンバーまたは身内と思われる雌のシャチも、4回のうち1回の襲撃に参加していた。
海洋保全に取り組む慈善団体ORCAの教育責任者アナ・バニーは本誌の取材に対し、「シャチは、その特殊な狩りの手法で世界的に知られている」と説明する。「このレパートリーに今、世界最大の魚を仕留める印象的なテクニックが加わった」。バニーは今回の研究に参加していない。
研究チームは、背びれなどの特徴を写真で分析し、シャチの個体を識別した。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
なぜネコ科はイヌ科より強いのか? それは孤高か集団かの選んだ進化の道の違いが生み出したものだった
ニコニコニュース / 2024年12月12日 18時0分
-
マーベル『クレイヴン・ザ・ハンター』主人公の吹替は津田健次郎、狩りすぎてR15+指定に
ORICON NEWS / 2024年11月28日 17時0分
-
南極圏にすら適応するネコがフランス領ケルゲレン諸島に与えた影響とは? 人間が到達してしまったことで変わっていく生態系とネコの強さの紹介
ニコニコニュース / 2024年11月22日 15時50分
-
マーベル最新作「クレイヴン・ザ・ハンター」だたのヴィランじゃない! 悪名高き史上最強のハンターの魅力に迫る
映画.com / 2024年11月19日 17時0分
-
なぜクマはイヌを恐れるのか? それは先史時代からDNAに刻まれた積み重ねによるものだった!
ニコニコニュース / 2024年11月18日 19時20分
ランキング
-
1謎のドローン目撃相次ぐ 市民に不安 米ニュージャージー州
AFPBB News / 2024年12月12日 18時31分
-
2イスラエル軍、停戦合意に従いレバノン南部から撤退開始 米中央軍発表
AFPBB News / 2024年12月12日 15時43分
-
3韓国野党、2度目の弾劾訴追案を提出…与党は7人が賛成意向も総会で代表に辞任求め騒然
読売新聞 / 2024年12月12日 23時9分
-
4インド太平洋の米軍飛行場、中国の攻撃に脆弱=報告書
ロイター / 2024年12月12日 18時3分
-
5ロ大統領報道官「必ず反撃」、ウクライナの長距離ミサイル攻撃で
ロイター / 2024年12月12日 19時52分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください