雨が多いと離婚が増える? 鳥たちに見る気候変動の影響
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月9日 14時40分
ジェス・トムソン
<気候変動が鳥の結婚生活を脅かす...セイシェルの調査が明かす現実>
雨が降ると人間でも多少みじめな気分になる。だが小鳥同士の関係にはとんでもない影響を及ぼしかねない。
セイシェル諸島の5島にのみ生息する鳥類「セイシェルヤブセンニュウ」は、雨が多すぎたり少なすぎたりする日が続くと「離婚」が増える傾向があるという論文が、アニマル・エコロジー誌に掲載された。
この発見は、気候変動による気象パターンの変化が、世界中の多数の種の繁殖に広く影響を及ぼし得ることを示唆している。
論文を発表した研究チームはクーザン島のセイシェルヤブセンニュウの繁殖行動について16年分のデータを分析し、同じ時期の気象パターンと照らし合わせた。
セイシェルヤブセンニュウは、雄と雌が複数の繁殖期、あるいは生涯を通して長期間つがいになるソーシャルモノガミーの関係をもつ。鳥類の90%はソーシャルモノガミーだが、どちらか一方が死んだわけではないのにこの絆が壊れることを離婚と呼ぶ。
「離婚(両方とも生きているのにつがいの絆を絶つこと)は、多くのソーシャルモノガミー種で観察される繁殖戦略であり、うまくいかない繁殖と関係することが多い」と論文では解説している。
離婚はソーシャルモノガミーの鳥類の約92%で確認されている現象で、離婚率は種によって異なる。
セイシェルヤブセンニュウの場合、調査期間中の離婚率は年間1~16%と幅があった。
研究チームはこの種の鳥の離婚率と降雨の変動の間に関係があることを発見。平年に比べて降雨が異常に少ない年や異常に多い年の方が、離婚率が多いことが分かった。
「16年分のデータを分析した結果、降雨パターンと離婚率の間に複雑な非線形の関係があることが分かった。雨が少ない年も多い年も離婚が増える傾向があった」。マッコーリー大学で行動生態学を専攻する論文共著者のフリッグ・スピールマンはそう解説する。
「この関係は特に、ある異常気象、つまり1997年のエルニーニョがもたらした豪雨の影響が顕著だった」
1997年の大雨をデータから除外した場合、雨量の増加と離婚率の低下との間には強い相関関係があった。しかし1997年の豪雨以降は離婚率も急増した。
「1997年は生物学的に重要だったと我々は考える。こうした影響をもたらす異常な豪雨は、将来的な気候変動によってもっと頻繁になると予想される」。論文の中で研究者はそう指摘する。
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