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雨が多いと離婚が増える? 鳥たちに見る気候変動の影響

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月9日 14時40分

雨が少なければ餌が減り、雨が多ければ鳥が体温を保ちにくくなって生息地や巣にも被害が出る。離婚率の増加はそのことに起因している可能性がある。

「これは雨が繁殖の成功に影響を及ぼした結果だった可能性がある。恐らくは餌が見つけにくくなり、親鳥は現在の繁殖成功と未来の繁殖成功のどちらに投資するかのトレードオフを迫られた」

加えて、雨が多かったり少なかったりしたために、つがいの相手選びの重大な要因となる精神的ストレスが強まってこうしたパターンが生じた可能性もある。

離婚の可能性と、繁殖の成功や生まれた雛の数との間に直接的な関係は見られなかった。従ってそれ以外の要因が離婚率に影響している可能性が大きい。

気候変動が急速に進む中、ただでさえ保護が難しくなっているセイシェルヤブセンニュウにとって憂慮すべき発見だった。世界中の鳥たちも同じような状況にある。

「どんな種であれ、生存のためには気温、湿度、日光、さらには他の生物との相互関係(例えば獲物、天敵、餌と隠れ場所をめぐる争いなど)といった、一定の物理的・生物学的条件や資源を必要とする」。オーストリア・フリンダース大学のエコロジー研究フェロー、フレデリック・サルトレ(今回の研究にはかかわっていない)はかつて本誌にそう語っていた。

「そうした要因は、種の地理的分布を決める『ニッチ』を構成する。気候変動にそうした条件(気温、降雨、餌の入手可能性)がかき乱されて生息地が種の許容限界を超え、生息不可能になる」

過去の研究でも気温と離婚率の関係は指摘されていた。気温の上昇や降雨パターンの変動は、鳥類の社会を大混乱に陥れる恐れがある。

「気候変動が加速する中で、降雨のような環境条件の変動がソーシャルモノガミー種の安定にどう影響するかを理解することが欠かせない」とスピールマンは言い、「今回の研究は気候変動性にさらされる動物の行動について私たちの理解を深めてくれるだけでなく、気候変動の影響を受けやすい種の保護活動に役立つ貴重な知見を与えてくれる」と評している。

(翻訳:鈴木聖子)

【参考文献】
Bentlage, A. A., Speelman, F. J. D., Komdeur, J., Burke, T., Richardson, D. S., & Dugdale, H. L. (2024). Rainfall is associated with divorce in the socially monogamous Seychelles warbler. Journal of Animal Ecology.

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