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わが友人、ホームレス、テントに暮らす荒川の釣り名人。奇跡が起きることを祈っている

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月11日 21時0分

彼のテントの周りには、クルミの木、柿の木、桑の木もある。これらの木の実が成熟したら、摘む必要はなく、地面に落ちているものを拾えばそのまま食べられる。

桂さんは最近、竹林のそばでセロリも見つけたと言っていた。セロリを入れてギョーザを作れば、きっとおいしいに違いない。

もちろん、これらの果実や野菜には旬の季節があり、食べたいときにいつでも食べられるわけではない。ホームレスの生活には冷蔵庫もないので、保存もできない。

川辺で大きなスッポンを捕まえた(左上)/これは桂さんがくれた新鮮なタケノコと桑の実(右上)/川辺の森で採れたクルミ(左下)/柿は皮をむいて干し柿にして食べる(右下)

5月中旬、私が寿司と飲み物を持って桂さんのところに食事をしに行ったとき、私はこう聞かれた。「新鮮なタケノコと桑の実を奥さんと子供に食べさせたいですか?」

私はもちろん「食べさせたい」と答えた。

「待ってください」と言って、スコップを持ち、隣の竹林に潜り込んだ桂さん。あっという間に新鮮なタケノコを8本掘って持ってきた。

その後、彼はテントのそばの桑の木から成熟した桑の実を摘んで、一緒に包んでくれた。収穫時間は20分しかかからなかった。

桂さんはおいしいものがあるときに人と分かち合うのが好きだ。ある時には、彼が川から捕まえたばかりの大きなスッポンを他の釣り仲間に渡している場面を見た。しかもお金を受け取らない。

だが彼らには暗黙の了解がある。この釣り仲間はきっと、家に帰ってスッポンを使ったおいしい料理を作った後、桂さんに一部を分け与えて「返す」のだろう。

高級自転車に乗り、ニュースに詳しいホームレス

桂さんが最も誇りに思っているのは、数十万円するという北欧製のスポーツレース用自転車(上の写真にある)だ。この高級自転車は、買い物に出かけたり、彩湖公園でサイクリングをしたり、友達に会いに行ったりするときにしか使われない。

この自転車はあまりにも桂さんの点数を上げてくれるので、その所有者がホームレスだとは誰も思わないようだ。この自転車を押して可愛い女性に話しかけると、相手は大体笑顔で迎えてくれるのだという。

この豪華な自転車のほかに、アルミ缶を運ぶための普通の自転車もある。

桂さんは国内外の大きなニュースにも関心を持っており、まさに「荒川のほとりにいて、心が全世界につながっている」といえる。

彼と話をしているうちに、世界で最近起きた重要な事件について多く知っていることに気づいた。テレビもなく、新聞も購読せず、パソコンや携帯電話も使わず、どこから情報を得ているのか不思議だと思って彼に聞いた。

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