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事件記者、保育士になる?「事件取材の鬼」と呼ばれた元朝日新聞記者が選んだセカンドキャリア

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月18日 11時30分

どんなやり取りをしたか。詳しくは申し上げられませんが、相手はこちらが持っている情報を探りつつも一貫して関与を否定します。一問一答は後にメモ起こしをしたものの、大半は記憶の彼方です。

でも先端が鋭く尖り、ぴかぴかに磨き上げた白いお靴が目の前で小刻みに揺れていた様子はいまも忘れられません。そのお方との面会前、別室で配下と思われるごつい男性に「隠しマイクとか仕込んでないやろな、おう?」と、全身をまさぐられたのも震える思い出です。

それに比べれば、講堂に集う善男善女のみなさまが当方に向ける眼差しなんぞ恐るるに足りません。

「ご疑問あらばどうぞ遠慮なくご誰何あれ、おう?」

◇ ◇ ◇

著者本人が朗読してみた!|『事件記者、保育士になる』緒方健二著/YouTube

緒方健二(おがた・けんじ)

1958年大分県生まれ。同志社大学文学部卒業、1982年毎日新聞社入社。1988年朝日新聞社入社。西部本社社会部で福岡県警捜査2課(贈収賄、詐欺)・捜査4課(暴力団)担当、東京本社社会部で警視庁警備・公安(過激派、右翼、外事事件、テロ)担当、捜査1課(殺人、誘拐、ハイジャック、立てこもりなど)担当。捜査1課担当時代に地下鉄サリンなど一連のオウム真理教事件、警察庁長官銃撃事件を取材。国税担当の後、警視庁サブキャップ、キャップ(社会部次長)5年、事件担当デスク、警察・事件担当編集委員10年、前橋総局長、組織暴力専門記者。

2021年朝日新聞社退社。2022年4月短期大学保育学科入学、2024年3月卒業。保育士資格、幼稚園教諭免許、こども音楽療育士資格を取得。得意な手遊び歌は「はじまるよ」、好きな童謡は「蛙の夜まわり」、「あめふりくまのこ」。愛唱する子守歌は「浪曲子守唄」。

朝日カルチャーセンターで事件・犯罪講座の講師を務めながら、取材と執筆、講演活動を続けています。「子どもの最善の利益」実現のために何ができるかを模索中です。

『事件記者、保育士になる』
 緒方健二[著]
 CCCメディアハウス[刊]

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