ChatGPT開発元の「著作権問題」を内部告発...元研究者が自宅で死亡
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月16日 17時20分
ジェームズ・ビッカートン
<ChatGPTの開発元、米オープンAIの元研究者スチール・バラジ氏(26歳)が11月26日、サンフランシスコの自宅で遺体で発見された。バラジ氏は、AIの著作権問題を内部告発していた人物だった>
人工知能(AI)チャットボットを運営する米オープンAIの元研究者で、著作権法に対する同社の姿勢について内部告発していたスチール・バラジ(26歳)が11月26日、サンフランシスコの自宅で亡くなっているのが発見された。地元当局は自殺と見ている。
サンフランシスコ市警察は、バラジが市内ブキャナン・ストリートにある自宅アパート内で死亡しているのを発見したと発表した。地元紙マーキュリー・ニュースによると、警察は、11月26日午後1時に通報を受けて安否確認に訪れ、バラジを発見したという。
ここ数年で、大規模言語モデル(LLM)を利用してユーザー向けにコンテンツを生成するAIチャットボットの性能が飛躍的に向上した。そうしたチャットボットの代表格が、オープンAIのChatGPTだ。しかし、その学習プロセスについては論争が起こっている。新聞社など一部のパブリッシャーは、オープンAIが許可なく著作物を使用していると非難し、訴訟も多数起きている。
本誌は、通常の営業時間外である土曜日に、オープンAIにメールでコメントを求めた。
サンフランシスコ市監察医務局は、バラジの死因を自殺と断定したと発表した。警察は今週に入ってから、「現時点で他殺の証拠は見つかっていない」と述べた。
バラジは、2020年に研究者としてオープンAIに入社したが、2022年になるころには、著作権法に対する同社の姿勢を危惧するようになった。
バラジは2024年10月23日、X(旧ツイッター)にこう投稿していた。「私はオープンAIで4年ほど働き、最後の1年半はChatGPTに携わった。はじめのうちは、著作権やフェアユース(公正使用)といったことについて詳しくなかったが、生成AI開発企業を相手取った訴訟が多数起きているのを知り、関心を持つようになった。
「この点について理解を深めようとするうちに、私は次のような結論に至った。多くの生成AI製品に関しては、フェアユースだという抗弁は妥当ではないように思える。そのいちばんの理由は、生成AIは、自らが学習したデータと競合する代替物を作り出すことができるからだ」
バラジは続けて、ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された自身のインタビュー記事を共有した。同紙は現在、自社の著作権を侵害されたとしてオープンAIを提訴している。
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