米電子偵察機「コブラボール」が日本海上空を連日飛行 監視対象は戒厳騒ぎがあった韓国か?
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月18日 18時55分
ライアン・チャン
<通常は主に北朝鮮によるミサイル発射の動向を探るために使用される「コブラボール」だが>
米軍の電子偵察機が12月17日時点で8日連続、日本と韓国の間の海域の上空を飛行していたことが分かった。世界の空を飛ぶ民間航空機の位置をリアルタイムで表示するウェブサイト「フライトレーダー24」が入手したデータによって判明したものだ。
本誌はこの件について、米インド太平洋軍、在韓米軍、在日米軍、米太平洋空軍と在ワシントン韓国大使館にメールでコメントを求めたが、返答はなかった。
問題の海域の上空を飛行していたのは、米空軍が3機のみ保有しているRC-135S偵察機、通称「コブラボール」のうちの1機だ。弾道ミサイルの光学/電子情報を収集する能力を持つ偵察機で、主に北朝鮮のミサイルの動きや発射の兆候を監視するために使用されている。
北朝鮮は過去1週間の間にミサイル発射を行っておらず、コブラボールの連日飛行が始まったのは、韓国の尹錫悦大統領が12月4日に突如、非常戒厳(戒厳令)を宣言(6時間後に解除)、今も続く政治的混乱を起こしてからだ。
韓国のMBCニュースは14日、オープンソースの飛行データを引用して、12月10日にコブラボール2機が沖縄の嘉手納基地にある前方作戦拠点から日本海(東海)に向けて飛び立ったと報じた。
X(旧ツイッター)上でオープンソースの情報分析を行っている@MeNMyRC1によれば、12月5日に嘉手納に到着したコブラボールが3度目の偵察で北に飛んだ10日、2時間後に別のコブラボールが離陸し、一機目と同じく北へ向かった。
「北朝鮮によるミサイル発射を想定してコブラボール2機が飛行しているのを見たのは、今回が初めてだ」と述べた。2機のうち1機は、12月5日に米本土から嘉手納基地に到着していた。
ある専門家はMBCニュースに対して、コブラボールはミサイルやロケット発射台の位置を追跡する能力を持つため、韓国軍の監視を行う目的で使用される可能性もあると指摘した。
MBCはまた、尹大統領や金龍顕前国防相など同じ高校出身の「沖岩派」と呼ばれるグループの韓国軍内のメンバーが韓国国内の複数の標的を攻撃を計画していたことを示す未確認情報もあり、2度目の非常戒厳が宣言される可能性があるという別の専門家の発言を伝えた。
@MeNMyRC1は16日にXのダイレクトメッセージで本誌に対し、「個人的に(コブラボールの飛行と)韓国とは一切関係ないと考えている」と述べ、さらにこう続けた。1「彼らがそんなことをする理由がない。コブラボールの飛行は続いており、そのターゲットは依然として北朝鮮だ」
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