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パセリを見たこともなかった僕が、チベットからNYに渡り由布院で総料理長になるまで 

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月21日 14時45分

レストランのスペシャリテ「Bouquet」 SATOKO KOGUREーNEWSWEEK JAPAN

コース料理は野菜がメインで、ある日は大分産の小イカに自家栽培のジャガイモ3種(デストロイヤー、インカのめざめ、シャドークイーン)、それに自家製で作るサフランのサワークリームソースとバジルオイルを添えた一皿を。レストランのスペシャリテ(おすすめ料理)は、取れたての野菜をバスケットに入れてお客様にお見せした上で、アップルバター、ターメリックのヨーグルトリンゴバターなどで食べる一皿だ。

デザートは僕の大好きなケールから作ることもある。僕は冬のケールが一番好き。食感が硬くなるけれど、とても甘いし、何より朝は寒さで凍るのに昼になると元気に戻る、その生命力がすごいと思う。お客さんにも、これを食べて栄養をつけてもらいたい。

ここまで来るのに大きな後悔は1つもないけれど、小さな後悔があるとすれば、チベットの祖父母が亡くなったときにニューヨークにいて会えなかったこと。僕はおじいちゃん子だったから。祖父はインドやネパールに行くなど新しいものに寛容な人で、そういうところを僕は受け継いだのかもしれない。

本当にいろいろな人との縁に恵まれ大分にたどり着いた。エノワの名前の由来は「縁の輪」。レストラン名の「JIMGU(ジングー)」はチベット語で「帰る場所」の意味だ。僕だけでなくお客さんにとっても、ここが帰りたくなる場所であってほしい。

【ENOWA YUFUIN】
大分県由布市湯布院町川上 丸尾544
公式Instagram:@enowa.yufuin
Tashi Gyamtso:@tashi__gyamtso

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