1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

2024年、ウクライナの戦況はどう変わったか──ロシアは支配地域を拡大、ウクライナはクルスクの死守が至上命題に

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月24日 19時8分

避難を拒否し、ロシア軍が迫る要衝ドネツク州ポクロフスクに残った住人(12月19日) REUTERS/Alina Smutko

ブレンダン・コール 、ジョン・フェン
<ドナルド・トランプが再びアメリカの大統領に就任する2025年1月20日を期限として、ロシアはドネツクの完全占領とクルスクの完全奪還を目指して猛攻を仕掛けている。トランプが停戦の圧力をかけてきたときに少しでも交渉を有利にするためだ>

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が進めるウクライナへの本格侵攻は、ロシアがウクライナ東部で支配地域を広げる一方、ウクライナによる越境攻撃でロシア西部に新たな前線が生まれた状態で、新年を迎えることになった。

【戦況マップ】2004年に前線はこう動いた

プーチンが始めた戦争は来年2月4日には4年目に突入する。この1年で戦線がどう動いたかが、この戦争を終わらせるためのあらゆる交渉の前提となる。

折しも、4年目突入の1カ月程前の1月20日には、ドナルド・トランプ米次期大統領の就任式が行われる。トランプは、自分が大統領になったら、さっさとこの戦争を終わらせると豪語してきた。就任早々、交渉仲介に乗り出す可能性もあり、注目が集まっている。

この1年、苦戦を強いられてきたウクライナ軍の兵力は消耗し、ウクライナ東部のドンバス地方ではロシア軍が攻勢に出て、支配地域の拡大を加速させている。ウクライナ軍は、越境攻撃で獲得したロシア西部クルスク州の占領地域も切り崩されつつあるが、停戦交渉では、ここを抑えていることが切り札となるため、残る地域を死守しようと激しい抗戦を続けている。

プーチンはトランプが就任する1月20日をクルスク州奪還の期限に設定。「ロシア軍はありとあらゆる方法でウクライナ軍の抵抗をつぶそうとしている」と、慈善団体「ウクライナのための希望」の創設者でCEOのYuriy Boyechkoは本誌に語った。

ロシアのアンドレイ・ベロウソフ国防相は12月16日、プーチンが2022年9月にロシアへの併合を宣言したウクライナの4州、ヘルソン、ザポリージャ、ルハンシク、ドネツクは2025年には完全にロシアの支配下に置かれると述べた。

その半年前の6月14日にプーチンは停戦交渉に応じる条件として、ウクライナ軍がこの4州から撤退し、NATO加盟を断念し、軍港セバストポリがあるクリミア半島をロシアの領土と認めることを挙げた。ベロウソフの発言はそれを再び強調した形だが、ウクライナはこれらの条件を一貫して拒否している。

ウクライナがクルスク州への越境攻撃に踏み切ったのは8月6日のこと。当初ロシア側の防御はもたついたが、その後北朝鮮の兵士を集中的に投入し、今ではウクライナ軍が占拠した地域のかなりの部分を奪還している。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください