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アサド政権崩壊後の混迷シリアを待つ「3つのシナリオ」を検証する

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月24日 19時24分

強力な中央集権国家が成立すれば、トルコはシリアで影響力を拡大することも可能だ。そこには、カタールからサウジアラビア、ヨルダン、シリアを経由してヨーロッパへガスパイプラインを敷設するという経済的な動機もある。

3つ目のシナリオは、紛争の長期化と事実上の分裂状態だ。これはシリア国民にとって最悪の結果で、暴力が継続し、国が民族的・宗教的に分断されたままになる。

近年のリビアやスーダンと同じように、シリアがこの運命をたどる可能性を示唆する要因は数多くある。シリアには歴史的な不満を募らせた民族が存在し、強力な民主主義の伝統もない。

このシナリオは、歴史的な敵の1つを弱体化させるという意味で、イスラエルに大きな利益をもたらす。また、トルコはシリア北部の占領を拡大し、クルド人勢力への攻勢を強めようとするだろう。

3つのシナリオ全てが示しているように、シリアの将来は、さまざまな国が影響力を行使し、それぞれに異なる政治的、経済的、安全保障上の利益を追求している地域情勢と密接に結び付いている。

アラブ連盟の8カ国は最近、ヨルダンで会合を開き、シリアの「平和的移行プロセス」への支持を表明した。各国代表はアメリカとトルコの外交トップとも個別に会談し、少数民族の権利を尊重する包括的な政府を求めた。

しかし会合では、出席国間の意見の相違が激しいことに加え、イスラエルなどの主要国が不在だったため具体的な計画には至らなかった。

現状では、シリアの将来のための国際的な枠組みを構築することが不可欠だ。

Ali Mamouri,Research Fellow, Middle East Studies, Deakin University

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.

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