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会社がランサムウェア攻撃を受けたらどう対応する? 「事業継続」に関わる重大リスクに、専門家2人が提言

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月25日 17時43分

HIROSHI ENDO

構成・山田敏弘 写真・遠藤宏
<日本におけるサイバーセキュリティーの第一人者である専門家2人が語る、社会と企業に求められる最新対策と意識変革>

近年、サイバー攻撃が世界で猛威を振るい、個人の生活ばかりか、企業活動や国家の安全保障にまで打撃を与える深刻なリスク要因となっている。日本でもメディア大手のKADOKAWAがランサムウエア攻撃で企業活動の停止に追い込まれたケースは記憶に新しいが、表面化していないものも含めサイバー攻撃被害は後を絶たない。そしていまだに多くの人たちが、十分に脅威に適応できていないのも現実だ。

日本はサイバー脅威との戦いにどこまで準備ができているのか──。国際刑事警察機構(インターポール)のサイバー部門初代総局長で現在は民間から日本のサイバーセキュリティー対策に貢献する中谷昇と、サイバーセキュリティーに精通した弁護士の第一人者で、官民連携にも貢献している山岡裕明に、最新のサイバー事情を語ってもらった。

◇ ◇ ◇

──現在、サイバー空間上のトレンドとして何に注目しているか。

中谷 サイバー犯罪のステージが変わってきていると感じます。いまサイバー犯罪の規模は、およそ8兆ドルと言われています。日本のGDPが約4.2兆ドルですから、そのスケールの大きさが分かります。

警察庁外事第一課在職時の1994年に北朝鮮が最初にノドンミサイルを日本海に向けて数発発射して大騒ぎになりましたが、2023年に北朝鮮は何十発ものミサイル発射実験を行いました。国連の経済制裁措置を受けている北朝鮮のどこに資金があるのか。国連安全保障理事会の専門家パネルが24年3月に公表した報告書によれば、北朝鮮は外貨収入の約50%をサイバー攻撃で得ているとされています。また、北朝鮮は国家予算の2割をサイバー攻撃などに充てているとも推定されており、北朝鮮のサイバー攻撃の動向には注目しています。

中谷 昇(NEC 執行役 Corporate EVP 兼 Chief Security Officer) HIROSHI ENDO

現在のサイバー犯罪の状況は制御不能で、産業化したサイバー犯罪攻撃のエコシステムが出来上がり、世界のサイバー攻撃の被害総額はドイツや日本のGDPを超える8兆ドルという推計もあります。特に最近問題となっているランサムウエア(身代金要求型ウイルス)攻撃では、ゼロデイ脆弱性(ソフトウエアなどに存在する未知の脆弱性)や、遠隔で会社などのサーバーにアクセスする際に使うVPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)の認証情報といったイニシャル・アクセス(標的のネットワークなどへの侵入のための手段)は、デジタル地下マーケットで手に入る。つまり、お金を出せば、自分で開発しなくても相当に精度の高い攻撃ソフトが入手できるわけです。

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