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睡眠不足の上司は部下に当たり散らし、心を落ち着かせている...「仕事と睡眠」の驚きの関係

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月26日 6時40分

自分の心身をケアするリーダーのもとで働くメンバーは、自分の心身もケアをしていました。そして、そうしたリーダーのもとで働いているメンバーほど、実際により健康だったのです。

リーダーは、自分の心身を疎かにすると、メンバーの心身に負担をかけてしまうことを重々認識する必要があるのです。

睡眠不足は死亡リスクを増加させる

リーダーがおさえておくべきは、「睡眠」「食事」「運動」「休み」の4つです。

まず、睡眠から始めましょう。

寝る前にSNSや仕事のメッセージに目を通すことが多く、どうしても就寝時間が遅くなりがちという人も少なくないでしょう。睡眠時間も6時間を確保できればいいほうで、朝、起きたときに、体のだるさが残ることも多いということはないでしょうか?

こうした睡眠習慣では、残念ながら、自分の健康を守れないことがわかっています。

睡眠の専門家15人が、睡眠と健康にかかわる学術論文5314本を精査し、共同で次の声明文を出しています。

「成人は定期的に7時間以上の睡眠をとるべきである」

個人差はあるでしょうが、1つの目安として7時間という基準が示されています。

その理由は、睡眠時間が7時間を定期的に下回ると、肥満、糖尿病、高血圧、心臓病、脳卒中、うつ病、死亡リスクの増加、免疫力の低下などにつながるからです。

さらに、7時間未満の睡眠はパフォーマンスの低下、ミスの増加、事故リスクの増加とも関連していました。

こうした悪影響のリストをみると、ゾッとしますね。いかに睡眠が健康にとって大切かが、改めて確認できます。厚生労働省の調査によれば、睡眠時間が7時間に達していない人の割合は、日本人のなんと、半分以上にのぼります。ですから、みなさんがこの7時間のラインを下回っていたとしても何ら不思議ではありません。

睡眠不足は蔓延しているのです。

睡眠不足は人間関係にも悪影響を及ぼす

リーダーに心に留めていただきたいポイントは、睡眠不足は、メンバーとの人間関係にひびを入れるということです。

ワシントン大学の研究グループは、88人のチームリーダーとそのメンバーを2週間にわたって調査しました。

ここで驚くべきことがわかります。リーダーがよく眠れないと、その翌日、メンバーに当たり散らしていたのです。メンバーに意地悪な態度や、敵対的な態度をとりやすく、威圧的で攻撃的な行動をとる頻度が増えていました。

なぜ、こんなことになってしまったのでしょうか。この研究によれば、よく眠れなかったリーダーは、気力が十分でないために、メンバーに配慮するような言動がとれなくなっていたのです。

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