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南シナ海周辺国で中国に対抗するミサイル調達進む──インド、アメリカから

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月25日 17時3分

フィリピンに続きベトナムも調達予定、インドのブラモス巡航ミサイル(2003年、ニューデリー) REUTERS/B. Mathur JSG/JD

マイカ・マッカートニー
<南シナ海で強引な領有権主張を続ける中国の拡張主義に、フィリピンやベトナムがミサイル調達で対抗>

中国が南シナ海で威圧的な行動を強めるなか、中国と領有権問題を抱えるベトナムが近く、インドとブラモス巡航ミサイルに関する7億ドル規模の契約を結ぶ見通しだと、インドのニュースサービス「WION」が12月22日に報じた。

【マップ】中国本土に届くトマホークの射程

正式にまとまれば、ベトナムは同地域でフィリピンに次いで2番目に多くの「ブラモス」を保有することになる。ブラモスはインドとロシアが共同で開発した巡航ミサイルで、陸上、空中および海上からの発射が可能で迎撃が難しい超音速ミサイルだ。



フィリピンは2024年に入ってからブラモスの第一弾の納入を受けている。フィリピンは同ミサイルの調達について「形勢を一変させる出来事」だとしており、中国はこれを非難していた。

中国は南シナ海のほとんどの海域について領有権を主張しており、フィリピン、ベトナムをはじめとする東南アジアの近隣諸国と領有権争いを繰り広げている。

領有権をめぐるベトナムと中国の対立は、フィリピンのフェルディナンド・マルコスJr.政権と中国の対立に比べれば控えめだが、それでもベトナムはトンキン湾で中国が一方的に領海基線を発表したことや、西沙(パラセル)諸島の海域で操業中だったベトナム漁船の乗組員にけがをさせたことなどについては中国に抗議を行ってきた。

12月19日に開幕した第2回ベトナム国際防衛展示会には、駐ベトナムインド大使のサンディープ・アリヤとインド軍の高官らが出席。インド政府の同地域への戦略的な関与を強調した。

一方フィリピンは、海上防衛を強化するため米陸軍の中距離能力(MRC)ミサイルシステム「タイフォン」を購入したい考えだ。フィリピン・デイリー・インクワイアラー紙は、フィリピン陸軍のロイ・ガリド中将が記者会見で「わが国の群島防衛に適しており効果的であると考え、(タイフォンの)調達を計画している」と述べたと報じた。



「タイフォン」ミサイルシステムは既に2024年4月から、フィリピンで最も人口の多いルソン島に米軍が配備している。

米国とフィリピンは「タイフォン」配備は訓練のためだと強調するが、中国は強く抗議している。フィリピンのギルベルト・テオドロ国防相は、同システムは特定の国ではなく全般的な「安全保障上のリスクや脅威、挑戦」に対応するためだと述べた。

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