中国経済は、2025年を「復活の年」にできるか...不動産バブル後の中国の「実態」とは?
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月26日 16時58分
加谷珪一
<19年頃から不動産バブルの崩壊が始まったものの、ここにきて上海・香港の株式市場が急上昇するなど流れが変わる兆しも。中国経済はこれからどう動くか>
中国経済に底上げの兆しが見え始めた。中国は数年にわたって不動産バブルの後処理に悩まされてきたが、上海・香港の株式市場が急上昇するなど、これまでにない動きとなっている。もっとも、各種不良債権処理についてメドが付いたとは言えず、仮に底入れが実現しても、かつてのような高成長は期待できないだろう。
中国は過去20年間、アメリカなど西側各国に対する輸出と、国内のインフラ投資を起爆剤に高い成長を実現してきた。2010年代の平均成長率(実質)は約6.8%と先進各国を圧倒している。だが、中国の不動産バブルは19年頃を境に崩壊が始まり、コロナ危機も重なったことで、コロナ後の平均成長率は約5%と大きく低下している。
中国の不動産バブルは、金融当局による過剰流動性をきっかけに発生したという点で日本の80年代バブルとよく似ている。日本では銀行による過剰融資に加え、ノンバンクが不動産融資にのめり込み、これが大量の不良債権を発生させ、長期低迷の元凶となった。
中国でもシャドーバンキング(銀行融資以外の資金調達ルート)の肥大化が問題視され、特に「融資平台」と呼ばれる地方政府の傘下にある不動産投資会社の資金焦げ付きが懸念されていた。こうした事態を受けて、日本の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)常務委員会は24年11月、地方債務の上限を引き上げて、10兆元(約210兆円)の隠れ債務削減に充当する方針を決めた。
隠れていた債務が顕在化したことの影響
融資平台が抱える債務については、地方政府が事実上、保証することが暗黙の了解となっており、そうであればこそ、融資平台は巨額の不動産開発を実施できた。
だが当該組織の不良債権が市場の足かせになっていることがハッキリしたことで、中国政府は、暗黙の了解という隠れた債務を顕在化させ、地方政府による正式な債務に切り替える方向性を明確にした。これによって融資平台が抱える債務の大きさがあらためて認識される一方、隠れていた債務が顕在化したことで、一定の透明感につながったといえよう。
12月に入り、習近平(シー・チンピン)指導部は金融政策について、これまでの中立的な姿勢から緩和策に転じる方針を決定。続いて超長期特別国債の発行を増やし、積極的な財政政策を行う方針も確認した。中国の株式市場が上昇に転じたのは一連の政策について市場が期待したからである。
もっとも中国は1人当たりGDPが1万ドルを超えており、いわゆる「中所得国の罠」に陥る可能性が高いことが以前から指摘されてきた。
19年以降の中国は「中所得国の罠」の条件にぴったり合致
工業製品の輸出で経済を伸ばした新興国が豊かになると成長が鈍化し、その傾向が長期にわたって続くという現象は中所得国の罠と呼ばれており、日本を含む各国に共通して観察されてきた現象だ。一般的に現在の価値で1人当たりGDPが1万ドルを超えると成長鈍化が始まるとされており、19年以降、中国はこの条件に見事に合致している。
加えて言うと、今回の措置は不良債権について一定程度の透明化が実現しただけであり、処理が進んだわけではない。日本のバブル崩壊では、最終的に不良債権の処理にメドが付くまでに15年近くの時間を要している。中国経済は日本と比較して融資依存度が低いとはいえ、本格回復には程遠い状況といえる。
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