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イースター島で見つかった1億6500万年前の「タイムカプセル」...理科で習った「定説」が覆る可能性も

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月27日 14時51分

約250万年前に島を形成し始めた「最近」の火山の噴火は、新しい物質だけでなく、もっと古いプルームのマグマの残骸も地表に噴き上げた。島自体より1億6250万年も古い「タイムカプセル」が溶岩に含まれている理由も、これによって説明できる。

しかし今回の発見以前から、地殻とマントルがベルトコンベヤーのように一緒に動くというマントル対流説と、プルームは移動していないという観測結果は矛盾を来していた。そこへ古いジルコンが見つかったことで、話はさらに複雑になった。

「これまでは、プルームは上昇速度が速いためマントルの移動の影響を受けず、プレートの下には常に新しいプルーム物質が供給されて新たな火山を形成すると説明されていた」と、ファンヒンスベルゲンは言う。

だが、この理論には問題点がある。プルームに含まれていた古い物質はマントルの移動によって運ばれ、島を離れたはずだから、今になってイースター島で見つかるのはおかしい。

「そこから導き出された結論は、古いジルコンが保存されていたのは、プルーム周辺のマントルがプルームそのものと同様、ほぼ静止状態にあるから、というものだ」と、ファンヒンスベルゲンは言う。

研究チームによれば、この可能性は、ガラパゴス諸島やニューギニアで行われた研究によって既に示唆されていた。「この発見は、ガラパゴスのプルームについての以前の発見を支持し、マントルプルームの寿命に関する従来の見方に重大な影響を与える」と、ロハスアグラモンテは語る。

研究チームの見方が正しければ、私たちの足元深くにあるマントルは、長いこと想定されていたものとは全く異なる動きを示しており、しかもそのスピードははるかに遅いことになる。

ドラマが深みを増した

イースター島での調査を終えた研究チームは、現在はメキシコの西にある島々のジルコンを調べ、どうすればこれらの結晶がマントルの中で長く生き残れるのかを突き止めようとしている。

「私たちはまだ物事の表面しか見ていない。他の島や地域が何を語ってくれるのか待ち遠しい」と、ファンヒンスベルゲンは言う。

今回の調査に関わっていない英オックスフォード大学の火山学者デービッド・パイル(David Pyle)は、こう語る。

「今回の研究により、古いジルコンが太平洋の真ん中にある若い火山島の砂浜にどう堆積したかという不思議なドラマが、さらに深みを増した。もしも鳥や、風に乗ったちり、船のバラスト(底荷)、海流といったものがたまたま運んだものを除外できれば、これらのジルコンはマントルから運ばれてきた可能性が残る」

パイルによれば研究チームはこの考えを追い、古いジルコンの起源が今は失われた小さなプレート上で1億6500万年前に起きた大規模な火山活動にある可能性を示した。

「とっぴな考えに思えるかもしれないが」と、パイルは言う。「知れば知るほど、ジルコンは非常に耐性があり、構造プレートの循環の中で生き残る能力があることが明らかになっている」

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