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日本のSDGsは「動いていない」...蟹江憲史教授の苛立ちと、未来に向けたボトムアップの取り組み

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月28日 8時10分

(世間の関心が集まっていないのだから)政治家としては適切な判断、適切な見方なのだろうとは思う。

個人的には、国際政治が不安定なときだからこそ日本はSDGsについて国際的にもっと発信するべきだと思うけれど、一方でSDGsはもともとボトムアップのものでもある。企業活動の中でやるとか、自治体で推進していく。それがその会社や地域の強みになる。

例えばSDGsの対策は、防災対策にも、パンデミックの対策にもなる。危機が起こったとき、そのインパクトをどう少なくするのかにも関係してくる。政治がどうであれ、日本のような災害の多い国ではとても大切なことだと思う。

――蟹江さんの今の関心として、SDGsやサステナビリティはボトムアップのものだという考えがあり、それもあって現在、企業の評価(理事長を務める一般社団法人で、2024年6月に中小企業を念頭に置いた全国的なSDGs認証「サステナブルビジネス認証制度」を創設した)や、自治体との取り組みに活動の軸足を移しているのか。

蟹江 軸足を移しているというわけではない。SDGs関連だと、今も国連の7月の会議には参加したり、アジアでの会議などにも足を運んでいる。ただ、確かにボトムアップでつながりを強化し、対策を進めていくのが今のトレンドでもあるし、そのほうが強い。政治的に何かがあっても惑わされないで済む、という側面もある。

それに、実際にアクションを起こすのは企業だったり自治体だったり、より市民に近いところだから。

ちょうど今(取材時)、ハワイにあるカメハメハ・スクールという伝統的な私立学校の人が来日していて協議を進めているが、こういうつながりに関心がある。

ハワイも島国でエネルギー自給への関心が高いし、少し前には火山の噴火もあった。お互いに学び合って、交流を深めることが大きな形になっていくのではないかと思っている。カメハメハ・スクールはハワイの伝統的な文化をSDGsで再定義しながら、未来志向の教育を行っている。日本ではあまり多く見られない視点だ。

やはりサステナビリティは、その土地の文化に根差したやり方に落とし込むのが一番サステナブルだ。文化はローカル。日本だったら「もったいない」とか、そういうところに落とし込むのが大切だと考えている。企業文化もそれに含まれるかもしれない。

市民に近いところで、分散的に対策を取っていき、相互に学び合いながら、ネットワークを作っていく。特に(ドナルド・)トランプ氏が出てきたりして、国レベルで動かないような事態になると、こうしたネットワークがますます重要になる。

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